256GBのMacBookを買わない方がいい理由
ライフハッカー[日本版]2020年6月8日掲載の記事より転載
2012年、Appleが最初のRetinaディスプレイ搭載のMacBook Proを発売した時、一番小さなフラッシュストレージの容量は256GBでした。
約10年後の2020年、入門レベルのMacBook Proのストレージは今でも、アップグレードしない限り256GBのままです。
一方、2012年のiPhone 5の容量は、16GB、32GB、64GBでした。2020年のiPhone 11の容量は、64GB、128GB、256GBです。
なぜAppleはMacBookの容量を増やさないのでしょうか? それに、256GBの容量で十分ですか?
今回は、次にMacBookを買う時は256GBの容量にしない方がいい理由を検証していきましょう。
ストレージの価格は不安定
多くの場合、テクノロジーが広まれば、それにつれて価格は下がると思うでしょう。しかし、メモリやストレージのような部品の場合は、必ずしもそうではありません。
テック業界では、不足や希少性が価格上昇の最大の要因のひとつです。暗号通貨のマイニングが大流行している2017〜2018年の間、ビデオカードが高価だったことを考えてみてください。
SSDストレージの価格は、ここ10年で全体的に下がってきていますが、顕著な価格高騰もありました。
2016年12月の価格急落の後、いくつかのメーカーは翌年のはじめから高い割合で価格を上げました。価格の上昇は、製造技術の変化や原材料の費用の上昇、他分野での部品の需要、2011年のタイの洪水のような大災害などに影響を受けます。
Appleも、当然パソコンのメモリやSSDの価格の変動に影響を受けています。しかし、Appleは消費者やほとんどの小売店よりも、製造メーカーとの交渉力がはるかにあります。
これが、MacBookのストレージの基本容量の増え方(512GBや1TBなど)よりも、iPhoneのストレージの増え方の方が小さい(16GBや32GBから64GBへ)理由です。
Appleのハイエンド製品(iMac Proなど)は、今や1TBのSSDが標準搭載されていますが、このようなモデルは非常に高価です。
iMac Proの価格は、驚愕の5000ドル以上(日本価格 55万8800円/税別)で、クリエイティブ業界のプロでもない限り、誰も必要ありません。
一方で、1299ドルの13インチのMacBook Pro(日本価格 13万4800円/税別)は、400ドル(日本価格 4万円)で1TBのSSDにアップグレードできます。
コストに関係なく、Appleは容量がたった256GBではなく、それ以上のノートパソコンを主力製品として提供するべきでしょう。
256GBで、十分なのか?
メインのパソコンがMacBookの場合は、写真やiTunesのライブラリを保存することになります。
iPhoneの写真や動画すべて、さらにiTunesで購入したり管理したりしているものの保存場所となります。
容量を空けるために、別の場所にmacOSのライブラリを保存することもできますが、不便です。外付けドライブや、ローカルネットワーク上のドライブに頼らなければならなくなるでしょう。
iCloudのストレージにお金を払わず、クラウドにモバイル機器のバックアップをしていない場合は、代わりに定期的にローカルにバックアップを取るようにした方がいいです。
バックアップは、自分のパソコンの「~/Library/Application Support/MobileSync/Backup」フォルダに保存されています。
デバイスの容量にもよりますが、バックアップデータの容量は膨大になることがあります。どこか別の場所に保存する、もしくは外付けドライブに保存するのもいいでしょう。
MacBookが大いに信頼できる一方で、予想以上に長持ちするので、パソコンを買い換えられないという一面もあります。
ハードのアップグレードをするお金がなかったり、完璧に使えているノートパソコンを買い換える意味がわからない場合は、容量の小さいモデルを選ぶと後悔するでしょう。
クラウドのストレージを使って、他のパソコンからファイルを同期している場合も、容量を膨大に占有する可能性があります。
同期するものを変えなくても、常にすべてに簡単にアクセスできるのが楽ですが、そのための空き容量が必要です。
アプリのための容量を空けるのも忘れないでください。
デジタル生活の半分がWebブラウザ、残り半分が文書作成アプリというような学生の場合は、そこまで問題ではありません。
しかし、Adobe Creative Cloudのサブスクリプションをしている写真家の場合は、お金を払っている分は必要なアプリをインストールしたいと思うでしょう。
「Premier Pro CC」や「Lightroom」のようなアプリは、それぞれ数ギガバイトの容量を占めることがあります。
最後に、現在やっている仕事のためのスペースも必要です。
Lightroomのライブラリや編集中の動画ファイルを入れておく場所だったりするかもしれません。
高ビットレートの動画や、高速で読み書きしなければならないメディアで作業している場合は、古い外付けドライブではなく、パソコンのSSDにソースファイルを入れておかなければならない可能性が高いです。
ストレージは大きなものを買う方がいい
後日アップグレードするよりは、最初に必要な容量以上のストレージのストレージを買った方がいいです。
古いモデルのドライブを交換してストレージ容量を増やすこともできますが、2016年以降のほとんどのMacBookは、ユーザー自身がアップグレードできないものになっています。
最新のMacBook Proのモデルは、RAMがはんだ付けされ、バッテリーは接着され、Apple以外では入手できない独自のSSDが使われています。
グレーマーケット(非合法と合法の間の市場)で互換性のあるSSDを買うことはできますが、交換したくなる時には安くない可能性が高いです。また、自力でアップグレードしなければなりません。
現在購入できるのは、2015年以前のMacBook ProのモデルでアップグレードするSSDのみです。互換性のある機種を使っている場合は、費用対効果の高い素晴らしいオプションですが、欠点もあります。
このように自力でアップグレードすると、保証やAppleCareが無効になります。MacBookにストレージを追加する他の方法(英文)もありますが、最新のモデルにはSDカードリーダーがありません。これは、ノートパソコンにまとまった容量のストレージを追加する方法として、以前人気があったものです。
AppleはiCloudを推している
macOS Sierraで、iCloudにファイルを自動アップロードする機能が搭載されました。
ストレージの容量が少なくなると、最近開いたファイルのみが保存されるので、ローカルでアクセスすることができます。
これは、iCloudの容量に余裕があり(英文)、「システム環境設定 > Apple ID > iCloud」で機能を有効にしている場合のみ動作します。
同じく、iCloudの「写真」でも高解像度のMakeUseOfを保存できるので、低解像度のコピーの容量をローカルに確保するようにすることもできます。
Apple Musicのサブスクリプションを登録していると約3000万曲にアクセスでき、iCloudのミュージックライブラリですべてのデバイスで聞けるようになります。しかし、ストリーミングするにはデータ接続しなければなりません。
ほとんどの人にとって、iCloudのストレージを購入する主な理由は、バックアップの容量を確保するためです。
そうすれば、ローカルにすべてのバックアップデータを保存する負担がなくなります。Appleは、2011年にサービスを導入してから無料のストレージ容量を5GBから増やしていませんが、顧客にはクラウドで解決するようさらに推奨しています。
しかし、たとえiCloudで不足が補えたとしても、ローカルのストレージ容量はもっと必要です。
MacBookの容量が小さくてもいい場合
デスクトップや他のメインパソコンがある場合、MacBookのストレージ容量はそこまで気にしなくていいでしょう。
写真やiTunesで購入したデータを保存しなければ、生産性が向上することもあります。
ストレージに負担のかかる仕事はメインのパソコンに頼ることになりますが、MacBookはストレージがより小さなモデルを選び、お金を節約できます。
それ以外で、MacBookの容量はどれくらい必要なのかと迷っている人は、パソコンを買い直すまでどれくらいの期間使いたいか、それまでにどれくらいの容量が必要そうかを考えてみてください。
容量の大きなアプリをインストールする予定や、大量の写真や動画のライブラリを保存するつもりがなければ、512GBでも十分です。
逆にそのような予定があれば、少なくとも1TBは必要でしょう。
でなければ、外付けドライブやクラウド、ネットワークストレージを使って、MacBookの容量を空けなければならなくなるでしょう。
パソコンの容量が少なくて、アップグレードできない場合は、Macのスペースを空ける方法(英文)もチェックしてください。
Image: Akhmad Dody Firmansyah / Shutterstock.com
Image: MakeUseOf
Original Article: Why You Shouldn't Buy a MacBook With Only 256GB Storage by MakeUseOf