沿って, Uav-jp 21/03/2022

ボーイング、完全自動運転のジェット機を開発へ──でも「ほぼ自動」は、すでに実現している

ボーイングが、航空機の自律飛行技術の開発に乗り出した。目標はパイロットを必要としない、自力で飛行するジェット旅客機をつくることだ。

同社の製品開発部門でヴァイスプレジデントを務めるマイク・シネットは、2017年6月中旬に開催された「パリ航空ショー」に関する記事のなかで、すでに自動操縦ドローンは1,000ドル以下の価格で売られていると指摘し、「この技術の基礎は間違いなく実現可能です」と語った。

パイロットのいない旅客機と聞くと、常軌を逸していると感じたり、恐怖感を覚える人もいるかもしれない。だが、旅客機を飛ばせるくらい高性能なコンピューターシステムの開発は順調に進んでいる。すでに現在のオートパイロットは、いったん飛行機が離陸したら操縦の大半を担うようになっており、悪天候や限られた視界といった条件下でも問題なく機体を着陸させている。

ボーイングは、パイロットに代わって意思決定をさらに多く行えるAIを開発することで、コックピットからさらに人間を排除したいと考えている。シネットいわく、ボーイングはこのようなシステムのテストを2017年夏にシミュレーターで、そして2018年には本物の飛行機で行う予定だという。

オートパイロットへの依存度

オートパイロットはパイロットによるインプットに基づき、機首の方向や高度、速度を調整・維持する。各航空会社がこの技術を使い始めたのは何十年も昔のことだ。

ボーイング、完全自動運転のジェット機を開発へ──でも「ほぼ自動」は、すでに実現している

やがて商用航空機には、「飛行管理装置(FMS)」と呼ばれる自動化システムが追加されるようになった。パイロットがフライトプランを入力すると、FMSはそれを実行する最も効率の良い方法を判断する。機体全体に張り巡らされた高度なセンサー網を頼りに、速度や上昇率などの状況を絶えず評価・調整する。ここまできたらパイロットは、あらゆる意味でリラックスできる。

「眠ることは法的に許されていません。ですが、人によっては退屈と思うかもしれない時間が複数回あります」と語るのは、ボーイング757および767の機長を務め、航空コンサルファームAeroPacific Consultingのオーナーでもあるダグラス・M・モスだ。

とはいえ、風や天気の状態の監視、燃料消費の追跡、乱気流などが発生した際の操縦といったことは、いまでもパイロットが自分で行う必要がある。オートパイロットにも可能だが、やはり人間にはかなわないのだ。

パイロットが自動操縦にどのくらい依存するのかの程度は、国によって異なる。米国の場合、航空会社はパイロットに対して、手動による監視と操縦の維持を求めている。一方、アジアの航空会社はパイロットに対して、なるべくオートパイロットを利用するように求めている。

「アシアナ航空は、副操縦士が飛行機を操縦して着陸させることを禁じています。自動でなければならないのです」とモスは語る。「機長も高度3,000フィートを超えて手動で飛行することを禁じられています」

飛行機のタイプによっても、依存度は違ってくる。エアバスはオートメーションへの依存度が高く、オーヴァーライド(自動操縦装置をオンにしたままパイロットによる手動を優先させる操縦)時を除き、コンピューターに制御を任せている。ボーイングは、自動化システムがガイドとアシストを行いながら、人間が最終決定を下すというやり方を好んでいる。

「どちらのやりかたにも長所と短所があります。エアバスは人的ミスを避けようとしていますが、ボーイングは人間の能力を活用しようとしているのです」と語るのは、元テストパイロットで、現在はフロリダ州にあるエンブリー=リドル航空大学で人間の能力や認識力、過誤について研究しているクリント・バログだ。