沿って, Uav-jp 16/07/2022

カメラ用語の散歩道:第6回:電子シャッター(その2・電動シャッター編) - デジカメ Watch

電子制御から電動へ

前回書いたように、ポラロイドオートマチック100から始まる「電子制御シャッター」は、露出制御との相性の良さもあって、瞬く間に普及した。レンズシャッターだけでなくフォーカルプレンシャッターも電子制御が当たり前になり、エレクトロニクス技術の発達とともにTTL-AEやマルチモードAEへと発展している。しかし、シャッター羽根や幕の駆動はそれまでと変わらず、スプリングの力を利用するものであった。

シャッター羽根や幕を動かすのにスプリングが使われるのは、いくつか理由がある。まず昔のカメラは電源電池をもたない。1960年のころから露出計の受光素子にCdSが使われるようになったため、カメラにも電池を使うようになったが、小容量のボタン型電池で、とてもシャッターを動かすだけのパワーは得られない。

カメラ用語の散歩道:第6回:電子シャッター(その2・電動シャッター編) - デジカメ Watch

銀塩のカメラの場合、フィルムの巻き上げ→シャッターレリーズという撮影のサイクルが、スプリングのチャージ→解放というサイクルにぴったりと合っていたということも大きな理由だ。巻き上げとチャージを連動させる「セルフコッキング」機構により、撮影前のチャージ動作の省略と多重露出防止とを同時に実現することができた。

ただ、スプリングをシャッター駆動に用いる最も大きな理由は、その「瞬発力」にあるだろう。瞬間的に大きな力を出す点でスプリングは優れている。その代わり継続して力を出し続けるのはどちらかというと苦手だ。時計の場合はスプリング(ゼンマイ)の力を、脱進機というメカで制御しながら少しずつ小出しにすることで、この点をカバーしたわけだ。カメラのシャッターの場合は羽根や幕を素早く動かすということで大きな力が必要となるが、必要な時間は一瞬で終わるので、まさにスプリングがうってつけの動力源であったわけである。

それに対して電動モーターはスタート時にすぐには動作しない。スイッチを入れてから動作するまでに遅れ時間が存在する。そして何よりもカメラに内蔵するには大きすぎる。ところがモーターの技術が急速に発達し、小型で性能のよいモーターが登場してくると、これをシャッターの駆動力として使う気運が高まり、まずはレンズシャッターから実用に供された。