石引司令「大好きな先輩」生存信じ 小松基地F15墜落・石川県
F15墜落事故について説明する石引司令=2日午後1時半、小松市役所
●捜索続く 航空自衛隊小松基地のF15戦闘機が消息を絶って3日目を迎えた2日、基地司令の石引大吾空将補(48)が北國新聞社の取材に応じた。搭乗していた飛行教導群司令の田中公司1等空佐(52)と植田竜生1等空尉(33)は依然行方不明。田中1佐と何度も職場をともにしてきた石引司令は「田中さんは大好きな先輩。生存していると皆、信じている」と2人の発見を決して諦めていないと強調した。【写真】飛行教導群司令の田中公司1等空佐 石引司令は2000年、小松基地の306飛行隊にF15の操縦士として赴任した。田中1佐は当時、同基地の303飛行隊でF15操縦士を務め、石引司令の先輩に当たる。その後も互いに航空幕僚監部勤務となり、親交が続く。「人望が厚かった。優しくて、本当に良くしてくれる先輩」と話した。 田中1佐は東日本大震災の爪痕がまだ深く残る11年5月、空自のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」隊員として同チームの拠点である空自松島基地に着任。現地の惨状を目の当たりにした田中1佐は復旧・復興活動に積極的に取り組み、19年5月に中部航空方面隊防衛部長となってからも災害派遣にひときわ力を入れていた。 20年2月には新型コロナの集団感染が発生し、横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対応に当たった。●「植田1尉は私より優秀」 石引司令は、植田1尉について「あの若さで精鋭部隊のアグレッサー(飛行教導群)にいるんだから私の30代前半のころなんかより、よっぽど優秀だ」と評価する。 2日、機影がレーダーから消えた小松基地から約5キロの洋上周辺では、救難ヘリや、海上自衛隊のヘリ搭載型護衛艦「ひゅうが」、潜水艦救難艦「ちはや」などが2夜続けて夜通しで手掛かりを捜した。「国難を救ってきた仲間を救おうと、全国の自衛隊から応援が来て、総力戦で捜索している」と石引司令は語った。 F15は1月31日午後5時半ごろ離陸後、機体は右方向に旋回してレーダーから消えた。離陸直後のごく短時間で異常が起き墜落したとみられ、垂直尾翼の一部とみられる部品などが見つかっている。●墜落地点の特定難航 石引司令は、墜落場所の特定が難しく、レーダーから消えた地点に機体があるかは「状況によって分からない。波や潮流もある」とした。空自の事故調査委員会が現地で原因究明を進めている。●手取川河口に残骸か 2日、関係者によると、手取川河口周辺で機体の残骸が見つかったとの情報がある。
最終更新:北國新聞社