沿って, Uav-jp 07/10/2022

CPUもGPUもAMDを採用。Asus ROG Zephyrus G14は今年最強のゲーミングノートPCたり得るか?

最新ゲームが快適にプレイできるのに、コンパクトでバッテリーも長持ち!

AsusのゲーミングノートPC、ROG Zephyrus G14の2022年モデルが発表されました。米GizmodoのPhillip Tracy記者によれば、2021年版の欠点をほぼ解消して完成度が高まってるようですが、完璧ってわけじゃありません。何が良くて何がまだ足りないのか…詳しくは以下をご覧ください!


ガジェットの世界にヒーローの物語があるとしたら、Asus ROG Zephyrus G14(以下Zephyrus G14)は、AMDのここ数年の復活劇の主役です。数年前の初代モデルでは、AMDのプロセッサ「Ryzen」がIntel(インテル)のチップ性能をしのぎ、ランタイムもクラス最高レベルを実現できることを証明しました。Asusはインテルのライバルと組むことで、サイズと性能、効率の完璧なバランスを決めたポータブルゲーミングシステムを実現しました。Zephyrus G14は売れに売れて、一時は数カ月間も在庫切れになったほどです。

2022年のZephyrus G14は今までの勝利のレシピは変えず、それぞれの要素をより洗練させています。Asusはユーザーからのフィードバックを聞き入れ、これまで足りなかった部分をテコ入れしたのです。タッチパッドや冷却機構といった欠点は改善しつつ、RGBバックライトキーボードや16:10のディスプレイ、赤外線Webカメラといった新たな機能を追加しました。

そんな目に見える変化もさることながら、アップデートのキモはやっぱりAMD Ryzen 9 6900HS CPUとRadeon RX 6800S GPUによるツインターボエンジンです。そう、今年のZephyrus G14の頭脳部は、CPUもGPUもAMDで真っ赤です。Nvidia入ってなくて大丈夫?と心配な方もいるかもしれませんが、今年のZephyrus G14はすべて完璧とまでは言いませんが、今までで最高の仕上がりだと思います。

Asus ROG Zephyrus G14 (2022年モデル)

これは何?:ポータブルな14インチゲーミングノートPC。

価格:1,599ドル(約18万4000円)から。レビュー機は2,499ドル(約28万7000円)。

好きなところ:素晴らしいパフォーマンス、魅力的なポータブルデザイン、心強いポート群、カラフルな16:10ディスプレイ、大きめタッチパッド、RGBキーボード(オプション)、Webカメラが付いた!

好きなじゃないところ:あったかくなる、トップ構成にすると高い、RTX 3070のシステムに性能では負ける、バックライトにムラがある。

エレガンスと楽しさの両立

今年のZephyrus G14は先代とほぼ全く同じ見た目、つまり同じくらいアイキャッチングで、とくにレビュー機のムーンライトホワイトはすごくキレイです(もうひとつ、エクリプスグレーもあります)。Asusのバランス感覚は素晴らしくて、Zephyrus G14はゲーマーのためにカッコよさを追求することもできるし、学校やオフィスみたいに目立っちゃいけない場所では控えめに振る舞うこともできるんです。

どれくらい派手にするかは、設定で変わってきます。フタのほぼ全面に広がるドット絵みたいな、あんまり控えめじゃないものもあります。前よりLEDが増えた(1,449個ある)AniMe Matrixは白いライトのグリッドで、カスタムアニメーションを表示できます。ライトを付けてなくてもドットのパターンは見えるし、LEDをオンにすればライトショーが始まります。良い意味での遊びを重視するAsusらしいデザインアプローチ、効いてると思います。

個人的にこういうギミックは好みじゃないんですが、光るドットで遊ぶのは楽しいです。バレンタインデーには1分くらいかけてアニメーションを流れ星からハートの爆発に変えてみて、おかげで妻の隣でフタを開けたとき、妻が生温かく半笑いしてくれました。僕はナードかもしれないけど、奥さんには喜んでもらえたんです。これでもオタクみ不足なら、Asusのバーチャルペット・オムニをドット絵の中で飼って、ミニゲームさせることもできます。

もうひとつフタにあるのは、クロームのラインのすぐ上、ピンクの「Republic of Gamers」エンブレムです。程良いライティングの下でZephyrus G14を開くと、キーボードとパームレストがパールがかってて、ターコイズブルーとピンクがキラキラ見えます。こういうことってスルーされやすいですが、こういう輝きによってある種のエレガンスが加わります。ひっくり返して後ろを見ると、斜めに角度の付いたアグレッシブな輪郭線が、Zephyrusに共通のサイバーパンク風味を醸しています。

Zephyrus G14のデザインはカッコよさだけ追求してるわけじゃなく、実際触ってみると、使い心地への配慮に気づきます。フタを開けるときに手をかける部分には、下向きに角度が付いていて片手で開けやすくなってます。フタを完全に開くと、「エルゴリフト」ヒンジでキーボードの奥側がわずかに高くなり、タイプしやすい角度になるとともに、本体下側に空気が流れて冷却にも役立ちます。ヒンジは180度回転するようになったので、画面がフラットになります。こういうのを「コラボレーション機能」と呼ぶメーカーがありますが、個人的には、フタを開けすぎても取れたりしないっていう安心感が良いと思います。

僕がデザインで気に入ったのは、ディスプレイ周りです。今年のZephyrus G14は先代のスリムなベゼルはそのままに、画面の上に前面カメラを搭載しました。またアスペクト比が16:10に変わり、タテ方向のスペースが伸びて、よりコンパクトな印象を与えます。実際Zephyrus G14は12.3×8.9×0.73インチ(31.2×22.7×1.95cm)、重量3.8ポンド(1.72kg)で、すごく薄くて軽いです。リュックに入れてカフェに持っていっても、そこに入ってることにほとんど気づかないほどです。

大きくなったタッチパッド、RGBキーボード

Asusはタッチパッドが小さい!という不満の声に耳を傾け、今回のZephyrus G14ではタッチパッドを縦横ともに拡大、面積でいうと50%も増量しました。ガラスの表面にはかすかな弾性があり、僕がゲーミングノートPCで使った中ではベストな感触だし、スワイプやジェスチャーへの反応も速いです。

CPUもGPUもAMDを採用。Asus ROG Zephyrus G14は今年最強のゲーミングノートPCたり得るか?

キーボードも、打鍵感はほぼ変わらないものの、変化がありました。今までのSF的外見はなくなり、もっとトラディショナルです。キーのクリック感は最高ではないものの、キートラベルは1.7mmと深く、キーサイズとキー間隔のバランスが絶妙で、タイプし始めた瞬間からしっくり来ました。タイピングテストを試してみましたが、平均よりずっと高い毎分119ワードを正解率97%で打てました。文字以外のキーの配置も気に入ってます。矢印キーは逆T字型で他のキーから少し間を空けて並び、コミュニケーションキー(音量やミュート)はキーボードの上側にあってアクセスしやすくなってます。

ゲーマーにはRGBキーボードのオプションがうれしいと思います。残念ながら僕のレビュー機は白いキーだったので、白い背景にどんなライトショーが繰り広げられるのかはお見せできません。残念なのは、バックライトにムラがあったことです。ハードウェアに関しては、これ以外ではほとんど不満がないだけにやりきれません。

RGBキーボードの場合、色はAsusのArmory Crateソフトウェアでカスタマイズできます。Asusがプレインストールしているソフトウェア、僕は結構好きです。便利な機能をひとつかふたつのアプリに統合して、モダンでカラフルなインターフェースで見せてくれてます。

あとはサラっと使っただけですが、クアッドスピーカー(上向きと下向き、各ふたつのドライバー)では大きな音量も出せて音はくっきり、低音が驚くほどズシズシきます。720pのWebカメラは写真も動画も最高画質じゃありませんが普通に使えるし、赤外線センサーが入って顔認証ができるので、ほぼ一瞬でログインできます。

それからこのサイズのノートPCとしては、ポート類がかなり気前良く載ってます。USB 3.2 Type-Aがふたつ、USB 3.2 第2世代USB-Cポートが左右にひとつずつ、HDMI 2.0b入力が左側に、microSDカードスロットが右側にあり、あとはヘッドホン/マイクジャックです。このコンパクトなマシンにイーサネットポート付けてくれとは言いにくいんですが、アダプタだけでも入れてくれたらもっとうれしかったですね。ちなみに左側のUSB-Cでは100Wの給電とDisplayPort接続ができ、USB4対応なんですが、今年中に予定されているソフトウェアアップデートまではフルに使えません。

あらゆる面で良くなったディスプレイ

先代の14インチディスプレイも十分だったんですが、今回はより素晴らしいものになりました。16:9のアスペクト比にはそっと別れを告げて、16:10のパネルを心から歓迎したいです。僕は背が高く、幅の細い方が、複数ウィンドウを開くときとかWebをスクロールしてるときには広く感じられて良いと思ってます。2560×1600(WQXGA)のIPSパネルは前のものより明るく、レスポンス時間は25ミリ秒から3ミリ秒へと劇的に速くなりました。

このパネルは必要なポイントすべてをクリアしています。明るくカラフル、リフレッシュレート120Hz、Dolby Vision対応、そして色再現性の高さを示すPantoneの認証、目に優しい低ブルーライトの認証も受けてます。実際使って見ても、スペック通りの素晴らしさを感じます。僕が今別途レビューしている有機ELディスプレイのノートPCと並べてみても張り合えます。もちろんZephyrus G14のマットなパネルは、有機ELほどカラフルじゃないですが十分鮮やかで、最大輝度を測ってみると530ニトあり、先代の300ニトよりはるかに明るくなりました。

AMDのハーモニー

さて、ここからが本題です。Zephyrus G14はAMD Ryzen 9 6900HS CPUを初めて搭載するノートPCであると同時に、NvidiaじゃなくAMDのGPUを載せた数少ないゲーミングPCのひとつです。先代はGeForce RTX 3060搭載モデルがスペック上最高でしたが、今回は先月のCESでAMDが発表したハイエンドなディスクリートGPU 、Radeon RX 6800SがMaxの選択肢です。

レビュー機はAMD Ryzen 9 6900HS(8コア・16スレッド)と32GBのDDR5 RAM、1TBのPCIe 4.0 SSDという構成でした。いかにChromeのタブを並べても、Twitchをストリームしまくっても、画像編集しても、動きは遅くなりませんでした。合成ベンチマークでも素晴らしい結果を出してます。

Geekbench 5の全体パフォーマンステストでは、Zephyrus G14はシングルコアで1,552、マルチコアで10,002という結果でした。これはRazer Blade 14(7,403)やAlienware 15x(9,339)を軽く超えてますが、無敵のMacBook Pro14(12,663)には届きませんでした。去年のG15はRyzen 9 5900CPU搭載で、スコアは8,000台前半でした。ちなみにIntel第12世代搭載で唯一僕が試してみたノートPCは、Core i9-12900H搭載のAsus ROG Strix SCAR 17ですが、こちらは12,903というスコアを叩き出してます。

4K動画を1080pに変換するテストでは、Zephyrus G14がかかった時間は3分15秒と、ほぼすべてのノートPCより速く、唯一これを超えたのは2秒速かったAlienware 15xだけでした。Razer Blade 14は3分48秒、MacBook Pro14は3分21秒となってます。

グラフィックスに関しても、Nvidia RTX 3070搭載マシンと遜色ない結果が出てます。電力を必要な部分に振り分けるAMDの独自技術、SmartShift・SmartAccess Memoryによって、105Wでのグラフィックス処理ができることが貢献してるはずです。GPUの出力を、CPUを経由せずディスプレイに直接送り出せるMUXスイッチも入ってます。Asusによれば、これでフレームが画面に直接押し出され、レイテンシが少なくなり、フレームレートが最大9%向上しています。

『Far Cry 5』をUltra設定・1920×1200解像度でプレイすると、Zephyrus G14のフレームレートは94fpsとなり、これはRTX 3070搭載Alienware 15xで1080pでプレイしたときの106fpsより若干低いだけでした。同じくRTX 3070搭載のRazer Blade 14も100fpsでした。

『Total War: Warhammer II』では68fps、RTX 3060搭載のPredator Triton 300 SEの66fpsを上回りましたが、先代との比較でも違いは1フレームだけです。

『Metro Exodus』をUltra設定でプレイしたときも、Zephyrus G14は平均68fpsで、先代Zephyrus G14(66fps)やRazer Blade 14(65fps)より少し高く、でもAlienware 15x(75fps)にはかないませんでした。一方Ryzen 7とRTX 3060搭載のAlienware m15 R5は50fpsに留まりました。

微熱気味は変わらず

Asusは77ページに及ぶレビュワー用ガイドをくれて、その中で新しい冷却システムに多くのページを割いてます。エンジニア向けのホワイトペーパーかと思うくらい詳細でしたが、まとめると、増量したファンブレード(71枚から84枚へ)とファンの先細りデザイン、4本のヒートパイプ、ベイパーチャンバー、通常のサーマルペーストより伝導率の高いThermal Grizzly製の液体金属…といったあらゆる方面からの冷却アプローチによって、熱が篭るのを防ぐそうです。また、ROGシリーズとしては初めてダストフィルターを搭載し、細かいホコリが内部に溜まるのを防いでいます。Asus自身のテストでは、このフィルターがあると、フィルターなしの場合に比べてCPU・GPUの温度を4度低く維持でき、他のコンポーネントもより多くの電力を使えたらしいです。

ただ、努力は素晴らしいんですが、Zephyrus G14はまだ温かめです。普通に使ってるだけで常に生温かく、ゲームプレイ中はかなり高温になります。とはいえ、心配なほどになるほどじゃないですが、膝の上で『Crysis』をプレイする気にはなりません。

新しくなった冷却システムの目玉のひとつは「odbモード」なるもので、これは普通程度の負荷のときはファンを止めて、音を静かにできることです。それいいじゃんって思うんですが、実際使ってみると、このモードのときはキーボードがすごく熱くなりました。ウィンドウひとつ開いてるだけで、キーの温度が華氏104度(摂氏40度)です。その後タブを2、30枚開いたら(その動作自体は一瞬です)ファンが回り出しましたが、それでもさらに若干温度が上がりました。

バッテリーライフは他の追随を許さず

Zephyrus G14はそのパフォーマンスとサイズで高い評価を受けてきましたが、競合との特に大きな違いは、ありえないほど長いバッテリーライフです。ポータブルなゲーミングマシンとしては、初めて実際に使って10時間前後持ちました。2022年モデルはその特長を受け継ぎ、画面輝度を200ニトに設定しての動画再生テストでは9時間21分持ちました。

普通の仕事に使うときは、Zephyrus G14は8時間ほど使うと省電力モードに入りました。ただし、これは画面を75%(約200ニト)に設定した場合で、Maxの500ニトにするともっと短くなるはずです。どっちにしてもZephyrus G14はゲーミングノートPCとしてはバッテリー最長のもののひとつで、ゲーム目的に留まらず、仕事用とか移動用のノートPCとしても使えます。

価格には疑問

AsusとAMDは、価格に関してはやる気が感じられません。Zephyrus G14は最小構成で1,599ドル(約18万4000円)、最高では2,499ドル(約28万7000円)です。僕がテストしたマシンはRyzen 9 6900HS CPU、32GBのRAM、1TBのSSD、Radeon 6800S GPU搭載で2,499ドルでした。この価格はAlienware x14やRazer Blade 14といったライバルとだいたい同程度です。

Asusは量販店Best Buyで扱ういくつかの構成例を送ってくれました。1,699ドル(約19万5000円)のモデルには14インチのQHDディスプレイとRyzen 9 CPU、16GBのRAM、1TBのSSD、Radeon RX 6700 GPU搭載です。プラス300ドル(約3万5000円)すると、GPUがRX 6800Sになります。

買う価値あり?

はい、というかかなりオススメします。一般に僕はゲーミングじゃないノートPCでGPU別立てになってる、Dell XPS 15とかHP Spectreみたいなのが好きなんですが、それはサイズとかバッテリーを犠牲にせずにパフォーマンスも手に入るからです。ゲーミングPCを買う気にならなかったのは、そのトレードオフがあるからでした。でも、Zephyrus G14は最高のパフォーマンスと1日持つバッテリーライフ、コンパクトな筐体を両立(非ゲーミングなやつと比べれば多少厚いですが)しています。

Zephyrus G14は、高FPSで最新ゲームをプレイしたい人向けにベストな全方位ノートPCなのかもしれません。今回のモデルは特に先代のいろんな欠点をほぼ解消してるって意味でかなり良くできてます。Webカメラが付いてディスプレイは16:10になり、タッチパッドはずっと大きくなりました。まだ欠点があるとしたら、新技術でも克服しきれなかった熱問題と、Max構成が2,499ドル(約28万7000円)でお財布に優しくないことくらいです。

Razer Blade 14のアップデート版とか、他のもっといいマシンが出てくるのを待つこともできます。でも、Zephyrus G14は今年ベストなゲーミングノートPCになるかも…僕にはそんな予感もしています。