沿って, Uav-jp 15/10/2022

Engadget Logo エンガジェット日本版 キヤノン「PowerShot ZOOM」レビュー、小型+望遠=楽しい!

キヤノンのPowerShot ZOOMは、「撮れる、望遠鏡」というコピーで登場したデジタルカメラです。単なるデジカメではなく、望遠鏡というところがポイントで、遠方のものをグッと引き寄せてみることができるわけです。最大9.6倍と、倍率としては控えめですが、ポケットに入ってたがるに持ち歩けるサイズという点がメリットです。

PowerShot ZOOM(Amazon)

○コンパクトな単眼鏡+デジカメ

PowerShot ZOOMは、双眼鏡の片側だけが分離したようなタイプの、いわゆる単眼鏡です。単純な単眼鏡は懐中電灯のような円筒形のボディを握って持ち、片目でのぞき込む形になります。構え方はPowerShot ZOOMも同様で、握るように持って片目に当てて使います。

形状としては円筒ではなく接眼部がえぐれた直方体で、手になじむようにボディはやや丸みを帯びています。手にフィットして持ちやすく安定します。手のひらに収まるぐらいのコンパクトさで、重量も約145gと軽く、取り回しも容易。首から提げていても疲れません。

肝心のレンズは35mm判換算100mm、400mmの2段階。さらにデジタルズームで800mmまでをカバーします。倍率でいうと、100mmで1.2倍、400mmで4.8倍、800mmで9.6倍となります。「天体望遠鏡」とまではいきませんが、単眼鏡としては十分なスペックでしょう。

センサーは2110万画素1/2.3型CMOSセンサーを搭載し、これを1210万画素1/3型CMOSセンサーとして切り出しているようです。他社のデジカメでも高画素センサーの中央切り出しで疑似的にズームするという機能はありますが、これによって実際のレンズ倍率よりも高倍率化ができるわけです。そのため、PowerShot ZOOMのレンズはもう少し短い光学倍率なのでしょう。

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とはいえ、単純に中央切り出しのため画質の劣化はないはずです。有効画素数は1210万画素と、画素数的に(やや物足りないものの)問題があるわけでもありません。コンパクトさを優先するやり方としては悪くないアイディアでしょう。

一般的な単眼鏡とは異なり、レンズから入った光を、いったんセンサーを通して接眼部のEVFに表示する形になります。そのためEVFは重要になりますが、236万ドットのEVFは、十分に高画素でクリアに見え、単眼鏡として十分役割を果たしてくれます。

光学式手ブレ補正(IS)を搭載しており、ブレもかなり抑えられます。もともとまゆ毛のあたりに押し付けるようにすれば手ブレを抑えられるので、ISと組み合わせてかなり映像は安定します。

実際の映像は、400mmまでは光学なので十分クリアに見えます。800mmになるとデジタルズームなので映像は粗くなりますが、それでもそこに何があるか、大まかには確認できます。後述しますが、これを撮影するとなると画質は低下してしまいますが、少なくとも単眼鏡として、リアルタイムに見ることだけを考えると、800mmでも実用的な画質です。

動画の撮影も可能です。実は写真よりも動画の方が高画質に見えます。近くにいた人のカメラのAF/シャッター音がうるさく入り込んでしまい、さらに風切り音が大きく入っていますが、800mmでの動画撮影としては優秀でしょう。

ボタン類は、握って構えた時に指の届く範囲に集まっており、電源やMENU、ズームは人差し指で、シャッターボタンは親指で操作する形になります。慣れは必要ですが、使っていればEVFを覗いたまま手探りで操作できるようになります。

全体的に操作はキビキビとしており、起動してEVFをのぞき込み、被写体を見つけてズームして撮影、といった一連の動作はスムーズ。電源ボタンをワンタッチすると即座に起動するので、とっさに単眼鏡を構えてもすぐに被写体を確認できます。

通常の単眼鏡と違うのはデジカメとして撮影にも対応する点です。35mm判換算で100mm、400mm、800mmという超望遠撮影ができるデジカメとしては、破格のコンパクトさです。スマートフォンカメラのようにボタンを押すたびに倍率が切り替わる形ですが、動作自体はスムーズでAFも高速。遠くの被写体を近くに引き寄せて撮影できる感覚でとても楽しくなるカメラです。

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画質に関しては大きな期待はしない方がいいでしょう。100mmはスマートフォンカメラという印象ですが、400mmになると画質は低下します。800mmのデジタルズームになると、細かい部分は再現できていません。

ただ、スマートフォンカメラでも50倍、100倍といった倍率のカメラもあったりして、それに比べればまだ画質は良好です。判断の難しいところですが、単純に撮っていて楽しく、しかもコンパクトなので許容できる範囲です。もちろん、もう一段画質が良好なら良かったのは間違いありません。

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○快適なスマートフォン連携

PowerShot ZOOMはモニタを搭載せず、撮影とその設定は、EVF内のメニューで操作できますが、のぞき込みながら手探りでボタンを押して操作するため、操作は煩雑です。また、常にのぞき込んで撮影しなければならないため、撮影の自由度があまりありません。

そこで活用したいのがスマートフォンとの連携機能。キヤノンの「Camera Connect」アプリを利用することで、PowerShot ZOOMに接続し、スマートフォンの画面をモニタがわりにして撮影することができます。

Bluetoothの常時接続にも対応。カメラを起動した状態でアプリを立ち上げると、即時スマートフォンと接続します。ただ、100%確実に繋がるかと言われるとそうでもありません。特に長時間接続していない状態だと再接続がうまくいかない場合が多いようです。その場合、筆者の環境(Xperia 1 III SO-51B)だとスマートフォン側のBluetoothをオン・オフするとうまく接続されるようでした。

Bluetoothが接続された状態だと、スマートフォンの時刻設定をカメラに転送する機能と、あらかじめ記録しておいたスマートフォンの位置情報をカメラに転送する機能が利用できます。

カメラのモニタとして使う「リモートライブビュー撮影」とカメラ内の画像を閲覧する機能は、Wi-Fiでスマートフォンとカメラを繋いで行います。接続に5~6秒ほどかかります。

撮影画像を確認するためにMENUボタンからMENU画面に入って再生メニューまでたどらなければならないPowerShot ZOOMは、あまり撮影画像を確認するのに向きません。スマートフォンで再生した方が簡単でしょう。いったんスマートフォンに接続してしまえば画像の確認は高速。

動画を含む150枚、700MBほどの画像を転送したところ、約4分30秒で転送されました。超高速とはいいがたいですが、スピードとしては我慢できないほどではありません。

撮影時は、スマートフォンの大画面で確認しながらの撮影が可能。機能としては最小限で、モニタとシャッターボタン、AF設定などの一部しか操作できません。MENUの各種設定項目をスマートフォン経由で設定できたら便利なのですが、そういったこともできないようです。

とはいえ、わざわざのぞき込まないでも望遠鏡として活用できるので、利便性は高まります。どこかに固定して、手元のスマートフォンで遠くの被写体を見ながら撮影する、という場合にも便利でしょう。ただし、本体に三脚穴がないため、安全に固定する方法が難題です。基本的には手に持った望遠鏡兼カメラとして使い、撮影後にWi-Fi経由で画像を確認する、といった使い方になりそうです。

全体的に、試しに使ってみると楽しさでつい積極的に使いたくなる製品です。それほど倍率が大きくない点、カメラの画質がもう一頑張りして欲しい点、三脚穴がない点は気にかかったところですが、それを上回る楽しさがあります。

屋内スポーツのような比較的暗めの場所での撮影は厳しいようですが、見る分には十分なレベルで800mm、9.6倍の単眼鏡として使うことができます。コロナ禍のタイミングで実施状況は不明ですが子供の運動会、散歩途中に近場の野鳥観察など、気軽に望遠が欲しいときに活用できそうです。

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