沿って, Uav-jp 04/05/2022

満点を出さざるを得ない驚異のゲーミングヘッドセット「G435」インプレッション - GAME Watch

あらゆるゲーマーの取り込みを狙ったゲーミングヘッドセットの集大成「G435」

 ゲーミングヘッドセットが、他のゲーミングギアと比較してプロダクトとして難しいのは、ゲームに隣接する別のカルチャーであるオーディオやビジュアルにも深く食い込んだデバイスであることだ。ゲーミングマウスやゲーミングキーボードが、ゲーム性能の一点突破で商品設計が成立するのに対して、ゲーミングヘッドセットは「できれば普段使いもしたいんだけどなあ」という消費者視点で見ればごく普通の、しかし開発者からすれば地獄のような無理難題を常に押しつけられるという宿命を背負っている。

【ゲームはポップカルチャーの一部】

 普段使い、すなわちゲーミング用途以外のシーンで求められるのは、かっこよさ、軽さ、コスパ。もちろん、あらゆるケースで利用できるように機能も充実していなければならない。これはeスポーツアスリートやコアゲーマーから見てではなく、ゲームはスマホだけでやるというライトゲーマーも含めた全ゲーマーがそう思えるものでなければならない。この難しいチャレンジに、ロジクールはG733から取り組みはじめ、G335、そして今回で3モデル目。G435は、その取り組みのひとつの集大成といっていい。

【“プレイ”はどこまでも続く】

 順番に見ていこう。まずデザインについては、系統としてはG733、G335と同系の随所に流線形を取り入れたスタイリッシュなものとなっているが、実はひとまわりコンパクトで完全新規の金型だ。モデルとしてはG733と同じワイヤレス。ファブリックは同じで、イヤーパッドは柔らかくクッション性が高い。そして、賛否、どちらかと言えば、ノンゲーマー層には積極的な揶揄の対象になっているLEDライティングは全面排除されている。

【G435(左) vs G733(右)】横に並べるとよくわかるが、G435は新金型で一回り小さい。ヘッドバンドのギミックもなくなっているサイドのデザインも大きく変わっている。LEDライトはなしイヤーパッドのファブリックは同じだが、やはり一回り小さめ

 カラバリはブラック、ホワイト、そしてブルーの3色展開。見ての通り、両サイドからチラリと覗く螺旋状のケーブルと、ボタン、イヤーパッドが別カラーになっており、ツートンカラーになっている。ブラックはイエロー、ホワイトはライトブルー、ブルーはピンクと、いずれも一癖ある奇抜なカラーが選択されており、遊び心が嬉しい。

【3色展開】どれにするか迷う3色展開ツートンカラーが楽しいイヤーパッドは、G733と同じで柔らかい

 そしてデザイン面での最大の特徴は、ついにマイクが本体に埋め込まれたことだ。これまでマイクは固定式、着脱式、引き出し式と世代やグレードによってさまざまなパターンがあったが、マイクが埋め込まれたのは今回が初めてだ。

 しかも単にマイク機構を埋め込んだだけでなく、デュアルビームフォーミングマイクと呼ばれる特殊なギミックが取り入れられており、マイクが2カ所に設けられ、その音の差異を計算して自分の音声以外を拾わない仕組みになっている。実際、このプロダクトのプレゼンを受けた際、担当者はG435を装着し、後ろで音楽を鳴らしていたが、担当者の声以外はまったく耳に入らなかった。最初は冗談だと思ったが、ヘッドセットを音源に近づけていくことで少しずつ音楽が聞こえてきた。このテクノロジーは、いわゆるノイズキャンセリングではないが、TVの音やゲームサウンドなどの環境音を排除して自分の声だけをチャット相手に届けることができるという点で、ゲーミングマイクとして画期的なものだ。

【マイク埋め込みとなったG435】G733には着脱可能なマイクが付いていたが、G435からマイクが埋め込みとなったこの2カ所の穴から音声を拾うビームフォーミングマイクの仕組み

 ちなみにマイク埋め込みについては賛否あると思う。「やはり物理的に口元のないと落ち着かない」という方もいるだろうし、引き出し式でオンオフできるのがありがたいという方もいるだろう。筆者の場合は、自分のずぼらさを棚に上げて言うと、いざ使おうという段階でマイクがオフだったり、マイクの物理的な接続を忘れていたり、マイク部分を壊したり無くしたりしていたから、この埋め込みはひたすらありがたい。

満点を出さざるを得ない驚異のゲーミングヘッドセット「G435」インプレッション - GAME Watch

 続いて軽さ。ゲーミングヘッドセット共通の弱点は、あれこれゲーム機能を詰め込んだ結果、重量が重いことだ。歳もあるのだろうが、数時間被るとずっしりとした重さを感じる。

 この重さについては決定的なブレイクスルーを果たしたのがG435だ。歴代のGシリーズの中でもずば抜けて軽い。165gという重量は、前世代のG533(350g)の半分以下、ワイヤレスの上位モデルとなるG733(278g)より113g軽く、7月にリリースされた史上最軽量の有線モデルG335(240g)よりさらに75g軽い。

【恒例のタニタチェック】G435。公称よりさらに軽い163.2gロジクールGの頂点に君臨するPRO Xワイヤレスゲーミングヘッドセット。フレームにスチールを使っており、さすがの371g兄貴分G733は公称よりやや重めの281g。G733を有線化したG335は237.5g。G435はこれより80g近く軽いのである

 筆者はかつてG733やG335のインプレ記事で散々史上最軽量を強調していただけに、もはやオオカミ少年状態だが、ワイヤレスモデルでさらにこんなに軽くなるとは筆者自身が信じられない思いだ。少しでも軽さの理由を知るべく、Logitech本社に尋ねてみたところ以下の回答が得られた。

「これは新しいヘッドセットなので、安定性、耐久性、互換性を犠牲にすることなく、市場で最も持続可能なヘッドセットにするという目標を掲げて、一から開発を始めました。使用する材料の重量を減らすことは、製品の二酸化炭素排出量を削減する最も効果的な方法の一つです。G435の重量は165gで、当社のゲーミングヘッドセットとしては最軽量であり、発売時点では史上最軽量です。G435はG533に比べて約50%の軽量化を実現しています。新設計のため、これまでのヘッドセットと比較した軽量化の内訳はございません」(ロジクール)

 新たな市場の獲得に向けて完全新設計されたゲーミングヘッドセットであることがわかる。実際、一回り小さく、ボタン回りも、たとえばボリュームはダイヤル式からボタン式に変わるなど、軽量化実現のための工夫が随所に感じられる。“ゲーミングヘッドセットは重い”という常識はG435で完全に過去のものになったと言えるだろう。

【ボリューム調整はボタン式に】

 お次は価格だ。最新世代のワイヤレスゲーミングヘッドセットのG733が19,250円、プロゲーマー向けのPRO Xワイヤレスゲーミングヘッドセットが24,970円。ロジクールGのワイヤレスゲーミングヘッドセットは、LIGHTSPEEDテクノロジーを採用し、プロシーンにも通用する低レイテンシでのワイヤレスコミュニケーションを実現するが、その代償としてとにかく高い。

 今回のG435も「完全新設計のワイヤレスモデルです」と聞いた時、「安くても15,000円ぐらいかな」と身構えた。過去にそういう価格の付け方をしてきたからだ。しかし、正解は9,350円。念のためだが税込み価格だ。新たな投資が必要となる新設計、新金型のワイヤレスモデルで10,000円を切る価格を実現しているのだ。これは衝撃的な価格設定と言えるだろう。

【ロジクールGシリーズプライスリスト】左側が有線、右側が無線。G435は右側に入る新製品だが、9,350円という価格設定は、過去の慣習を打ち破るぶっちぎりの安さであることがわかるだろう

 ここまで安いと気になるのは「音質は大丈夫なのか?」というところだろう。この点については、筆者も日常のゲームプレイやビデオ会議等でも使ってみたが、まったく問題なかった。強いて順位を付けるならG733>G435>G335といった感じで、G733は、上位モデルとしてハイブリッドメッシュ素材を採用した40mm PRO-Gドライバーを採用しており、音の歪みが低減されている。音質にこだわるならG733なのは変わらない。

 G435はノーマルな40mm PRO-Gドライバーの採用に留まっており、その部分にわずかに差が存在する。G335もG435と同じ40mm PRO-Gドライバーを採用しているが、アンプ回りが弱い。ゲームプレイ時はもう少し迫力が欲しくてついにヘッドフォンアンプに差してしまったりしたので、一番下とした。結論としてG435の音質は、ゲームにも普段使いにも必要十分なクオリティを確保していると思う。

【40mmオーディオドライバーを搭載】特に新しくないため記載しなかったが、Dolby Atmosや、Windows Sonic、Tempest 3D Audioなど、ゲームで採用されている3Dオーディオには一通り対応している