沿って, Uav-jp 04/02/2023

【夏休み自由研究】ゲーム配信の実体験に基づいたオススメ機材構成紹介―超低予算編 Close IGN Logo Comments Comments Comments Comments

今から3年前、「ゲーム実況配信をとにかく安く抑えて行ないたい」という人に向けた配信の設定方法から配信ソフトの紹介といった取説的な内容のコラムを書いた。今現在も配信ソフトは実際の現場でも使われているOBSやXSplitが主流で、一般の人が個人配信をする上で技術的に何か大きく変わったということは特に無い。もし、今から個人でゲーム実況の生放送や動画を制作するとするならこちらのコラムはまだまだ参考になると思う。

現在は3年前と変わってキャプチャーボードもだいぶ値が下がり、多くの人が気軽にゲーム実況やウォークスルー動画を動画サイトに上げられるようになった。PlayStation5やXbox Series X/Sといった最新ハードが出揃った今、更にクオリティを高くして配信がしたい。現場レベルといかなくても、配信機材、収録機材を揃えて映像のクオリティを高めておきたいという人もポツポツ出てきているかもしれない。今回はそんな人に向けたおすすめの配信機材、構成を紹介していこう。今回は現在に合わせた配信設定も紹介する。

前提として、配信する際にインテル製のCPUなら第8世代のCorei 3以上、AMDならRyzen 3以上で、グラフィックボードも『Fortnite』や『World of Tanks』のようなゲームのグラフィック設定を中程度にしてもカクつかない程度にプレイできるもの。3.5mmのマイク入力、オーディオ出力のPCが用意されていることと、OBSの基本的な設定が理解できていることを踏まえて紹介する(OBSの使い方については以前のコラムを参考にして欲しい)。なお、記事の最後にはここまでのスペックに及ばない、動画が閲覧できるレベルでも配信できる方法を紹介するので最後まで付き合ってもらえたら幸いだ。

配信をする前におさえておきたい考え方

機材の紹介に入る前に、配信、収録をする際に必要な素材は何か。という事を考えてみて欲しい。これは機材ではなく、必要な映像、音声ソース(出所の意味)のことを指している。

普段、僕がネット番組の制作をするに当たって次のように考えている。

パッと思いついた限りでこれだけが挙げられる。もちろん、配信、収録の内容によっては自分の音声、映像は省くことはできる。リスナーの中には実況者の声に煩わしさを感じてそこから再生されないことさえあるのでそこは判断が難しい。ここで「ゲーム映像の中に音も入っているから別に考える必要は無いんじゃないの?最近はカメラの中に入っているマイクで事足りるから切り分けて考えなくてもいいんじゃ?」と思う人もいるかもしれない。

まずこの考えは捨て去って欲しい。そして常に頭に置いてほしい認識として、「事故は必ず起こる」ということ。どんなに注意を払っていても、どこかで抜けやその日の機材の接続不調によってトラブルが生じてしまう。そうなるとトラブルをいかに早く、適切に解決するかということが重要になる。自分の動画や配信のクオリティを上げたいなら、「映像と音は別に考え、それぞれ構成し、最後にミックスをする」と考えに改めてほしい。映像と音をミックスをする場所はPC、もしくは映像スイッチャーのどちらかになるが、大多数の配信者はPC上でミックスすることになる。

配信の現場では音が悪い、または映像が悪いとどちらか片方の問題が発生した際、音声のどの部分で躓いているのか、映像のどの部分で躓いているのか原因の特定をする時に考えや機材構成を常に切り分けておかないと問題点の発見から解決に至るまでに時間がかかってしまう。仮に一つのソースから来ていても、考え方は別にして最終映像を構築、もしくはそのソースを一度映像と音に分離して再びPC、もしくはデバイスの上で合わせるという考えを持ってもらいたい。

この考えに基づいて機材を選別していくと、「一つの機材につき一つの役割に留める」という考えに行き着く。これは自分と仕事をさせて頂いた技術士さんから教えてもらった考え方で、機材がごちゃつくデメリットはあるものの、色んな機能が内蔵されていても機材に与える役割は一つに留まらせておくとなにかのトラブルが生じたときにも問題点が発見しやすい。そこで、ゲーム実況配信・収録に必要な機材をいくつか挙げていく。

とまぁ、考えられるだけでこれだけのものが必要となる。これだけ多岐にわたる機材を安直に調べて購入してしまうと合計金額に見合ったクオリティはおろか、最悪とんでも商品を掴まされる恐れがある。今回は機材を触った経験とシチュエーションに応じた値段相応の機材を幾つかピックアップし、大まかな機材構成図も用意していくので参考にして欲しい。まずは格安で始められる安価な方法と、必要な機材を紹介しよう。

超低予算コース(PS4&PS5、Xbox one、スマホゲーム、PCゲームに限定)

まずはじめは「実況配信、収録お試しコース」として超低予算の機材構成、配信設定から。配信を始めたてで今後収益化も視野に入れていきたいが、とりあえずはスタートとして簡易的なものをという人に向けたものとしている。おおよそ6,000円、ゲーム一本分の値段に抑えてある。

このコースは機材が足りていないことから先程書いた「一つの機材につき一つの役割」という原則から外れてしまうが、そこは仕方がない。音声、映像の管理は全てOBS上で行う事を理解している上で以下の機材を紹介しよう。

バッファロー WEBカメラBSWHD06MBK 価格:1332円

こちらのカメラは720Pの30fps、120万画素とかなり低いスペックだが、値段相応とも言える。手動でピントを調節するリングが搭載されている。

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もう少しお金を出せるのであれば次に紹介する製品の方が良い。

ロジクール ウェブカメラ C270n 価格:1855円

こちらは720Pの30fpsと変わりはないが、自動調光機能が備わっており、カメラに映っている光量から自動で色のコントラストを調整してくれる。自分を少しでもきれいに見せたいという人におすすめできる。

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これらのカメラは紹介している通り、画素数も低いため映像がどうしても荒く見えてしまうが、そもそもゲーム実況をするときに自分の顔を移す場合は縮小したワイプ映像となるためそこまで気にする必要はない。

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サンワサプライ MM-MC23価格:936円

安かろう悪かろうということで納得するならこれを紹介。無指向性マイクとはどういうものかというと、周囲の音を全て拾うようになっているマイクで、多人数で打ち合わせをするWeb会議とかで使用される。じゃあ実況に不向きかというと設定次第で実用可能となる。

OBSの音声ミキサーで、マイクの設定をしている箇所の歯車を選択後、フィルタを押す。すると別ウィンドウで音声フィルタが表示され、このウィンドウの左下にある「+」のマークを押して、ノイズゲートを選択。ノイズを低減するノイズ抑制もここで設定できる。

このノイズゲートは、設定されたレベル以下の音を全てシャットアウトするエフェクターで、これを設定すると配信者以外の雑音は乗らないようになる。ただ、喋っているときにはそのゲートが開かれている状態なので、中途半端な雑音が入ることで視聴者にあまり良い状態の音声とはいえないだろう。それでも配信、動画制作始めたてで予算が無い、収益化の見込みがないときにはこれがベター。

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さらにお金がつぎ込めるなら次がおすすめ。

サンワサプライ MM-MCF01BK価格:1673円

こちらは単一指向性のマイクとなっており、マイクを向けている方向からの音を拾ってくれる。その為部屋のどこかから鳴り響いている環境音を拾いにくく、先ほど紹介したものと違ってOBS上でノイズゲートを設定する必要が無い。

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音声は何よりも重視しなければならないため、もう少し品質の良いものを用意することをオススメする。その場合、次に紹介するマイクも検討してみて欲しい。

audio-technica AT9933USB価格:3200円

老舗の音響メーカーで信頼も厚い、オーディオテクニカのUSBマイク。USB給電からの単一指向性のコンデンサーマイクで、周囲の環境音を拾いにくい上に、配信者の声を値段相応に拾ってくれる上、小さいので机の上に置いていても邪魔にならないのは魅力的だ。

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ソニー エレクトレットコンデンサーマイクロホン ECM-PCV80U価格:3873円

こちらはスタンド付きのハンドマイクとなっており、別途USBのサウンドデバイスが同梱されている。このサウンドデバイスがPC内臓のものより音質が良く、音声をクリアにしてくれる(体感としては内蔵のものはややこもって聞こえる)。マイク本体にオン・オフのスイッチもあるため、くしゃみをするときなど咄嗟に切り替え対応することもできる。

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さて、肝心のゲーム映像の取り込みだが、PlayStation 4、並びにPlayStation 5に関しては以前紹介したリモートプレイをPC上で起動し、そのウィンドウをOBS上でキャプチャするのがベスト(この辺りの解説は以前のコラムを参考にして欲しい)。Xboxに関しては、現状Xbox Oneに限定されてしまうが「Xbox コンソール コンパニオン アプリ」をキャプチャして取り込むことができる。Xbox Series X/Sに関しては現在PC上でプレイすることができないためアップデートが待たれる(スマホのミラーリング機能を使って同一ネットワークを介してPCに取り込むという荒業もできなくはないが、おすすめできない)。

PS4、PS5、Xbox Oneいずれも映像を取り込むPCと同一のネットワークに接続する必要があり、ゲームをプレイするときにはゲーム機本体と接続されているモニターを見ると良い。リモートプレイはPCを経由してゲームを操作することになるため、若干のラグが生じてしまうが、このやり方で数年やっていて大きな支障を感じたことはない(直近では『Fortnite』の実況配信をして普通にビクロイも取れている)。快適と言っても差し支えない。PCゲームの場合も同様にウィンドウモードにしてOBS上に取り込む。

これらの取り込み方をした場合、ゲームの音声はOBS上では「デスクトップ音声」として認識されるため、OBS上でゲーム音の管理をすることになる。だいたいメーターの黄色部分に触るか触らないかくらいにとどめておくと良いだろう。

次回は少し予算に余裕のある人に向けた構成を紹介したい。


ハタフミノブ(@hata_fuminobu)はフリーのライター兼Web生放送ディレクター。配信業務で個人的にとても勉強になったのは毎月一回行っている「ノリミドゲーム放送」。石川典行と横山緑という普段はあまりゲームをしない二人が雑談をしながらゲームのクリアを目指すというものだけど、ゲームというのが如何にゲームプレイヤーの常識で作られているのかと痛感させられ、ゲームライターとして気付かされ勉強させられる。