アクティヴィティ好きにとって最強のフィットネスウォッチ、それがガーミンepix
特にアウトドアで運動する人!
Garmin(ガーミン)からフィットネス機能やGPS系機能を爆盛りした高級スマートウォッチ「Garmin epix」が発売されました。米Gizmodoきってのアウトドア派、Brent Rose記者がレビューしてます。スキーや自転車やゴルフなどのアクティヴィティで予定びっしりな方はぜひご一読を!
僕がウェアラブルデバイスをレビューしてきたこの10年で、いろんなタイプの運動に対応したアクティヴィティトラッカーとしてベストに登り詰めてきたのが、ガーミンのfenixシリーズでした。fenixは毎年、他のアクティビティトラッカーより少しだけ、またはだいぶ先を行ってきたので、fenix 7の発表を見たときはきっと自分のお気に入りになると確信してました。でも、実際気に入ったのは、fenix 7じゃなくGarmin epix(以下epix)でした。
epixはfenix 7と機能的にほぼ変わりないんですが、美しいAMOLEDスクリーンが載ってて、その分バッテリーライフが犠牲になってはいます。それ以外はepixとfenix 7は事実上同じです。僕はepixもfenix 7も両方(どちらもSapphireエディションで)試したので、微妙な違いは後述しますが、とりあえずepixとfenix 7はほぼすべて同じ、と覚えててください。
ちなみにガーミンは2015年にもepixっていうスマウォを作ってはいましたが、それはイマイチパッとしなくてですね。だから、今回「fenix 7 AMOLEDエディション」とかそういう名前じゃなくて、epixって名前を再利用してるのはやや謎なんですが…。筋論的には「epix Gen 2」とか呼んでもいい気もするんですが、初代epixの存在を覚えてる人もそうそういないと思うので、この記事では今年出たepixをそのまま「epix」と呼んでいきます。
Garmin epix
これは何?:ガーミンの新たなフラッグシップなスマートウォッチ。
価格:900ドル(日本国内価格:12万1000円)、サファイアエディションは1,000ドル(同13万2000円)。
好きなところ:タッチ対応で地図やナビが使いやすくなった美麗ディスプレイ、精度を高めた心拍センサーとGPS、スキー地図ではルート名まで表示、前より控えめなデザイン。
好きじゃないところ:AMOLEDディスプレイでバッテリーに負担、Garmin Connectアプリはいろいろできるけど直感的じゃない、音楽や運動やルートの追加方法がわかりにくい。
健康トラッキングマシン
ガーミンのfenixシリーズって何?って人もいると思いますが、fenixは基本的に「なんでもトラッキング」タイプのGPSスポーツウォッチです。60種類のスポーツがデフォルトでトラッキングでき、屋外水泳にもスノーボードにもピックルボールにも対応してます。もし自分がいつもやっている競技が入ってなくても、それ用のサードパーティアプリをGarmin Connectストアでダウンロードできる可能性が高いです。Garmin Connectストアは、スマホにフルバージョンアプリがあるんですが、新たにウォッチ側にも機能限定版が内蔵されました。
fenixは、Fitbit的な24時間健康モニタリングも得意です。心拍数や歩数、昇ったフロア数、ストレスレベル、Body Battery(Whoopがやってるような回復度の指標)、睡眠、血中酸素濃度までも常時計測できます。ランニングやサイクリング向けには「リアルタイムスタミナ」という指標が新たに追加され、ユーザーの体に残ってる(とウォッチが思う)エネルギーを表示し随時更新していきます。これを使うことで、少なくとも心肺機能的には頑張りすぎ(またはサボりすぎ)を防げるわけです(関節の疲労はまた別かもしれません)。
心拍関係の指標はすべてガーミンのElevate 4センサー群でトラッキングしていきます。Elevate 4は去年のVenu 2で登場したんですが、今回はプラスチックじゃなくガラスに収められているので耐久性が高く、使い込んでも精度が維持できるはずです。fenix 7には赤外線センサーが4つ(以前はふたつ)と、LEDライトの緑がふたつ、赤がひとつ搭載されています。赤いライトは血中酸素濃度計測用で、僕はときどき手動で測ってますが、(睡眠時無呼吸症候群とかが心配な人は)寝てる間常時オンにする設定も可能です。24時間常時オンにもできますが、バッテリーの持ちが悪くなります。チェストストラップのWahooと同時に装着して比較しましたが、全体的に心拍計はすごく正確で、激しい運動をしても問題なく、血中酸素濃度も医療用の指に付けるものと一致してました。
GPSがさらに進化
epixもfenixも複数の衛星ナビゲーションシステム(GPS、GLONASS、Galileo)にアクセスできますが、特にepix サファイアエディションは、マルチバンドGNSS(Global Navigation Satellite System)をサポートする最初のウォッチのひとつです。
マルチバンドとは何かっていうと、通常こういう位置情報衛星は複数の周波数でブロードキャストしてるんですが、普通のデバイスはそのうちひとつの周波数しか拾っていません。でも、マルチバンドとはその名の通り各衛星から複数の周波数を拾うので、(少なくとも理論上は)より精度が高くなります。実用上は僕が使ってる限り普通のGNSSと大きな違いはなかったんですが、僕はその間険しい山を登ったりビル群の中を走ったりはしてませんでした。それにマルチバンドGNSSは新しいシステムなので、これからもっと良くなっていくはずです。ただ、衛星とつながるまでに必要な時間は、今まで試したスポーツウォッチのほうがどれよりも早いと思います。通常のスマウォやフィットネストラッカーでは、ランニングアプリを立ち上げてから衛星を見つけるまでに1分くらいかかることも珍しくないんですが、epixでは(fenix 7も)ほぼ必ず10秒以内でした。
クラシックなデザインに美しいディスプレイ
リアル世界での使い心地という意味では、epixはワクワクです。1.3インチのAMOLEDディスプレイは明るく鮮やか、まぶしい太陽の下でも見やすいです。epixはfenix 7より常に見やすいんですが、特に太陽が沈む時間帯は違いが大きかったです。fenix 7はクラシックな半透過型MIPSディスプレイ(これも1.3インチ)、手動で点けられるバックライト付きで、他の半透過型ウォッチよりかなり視認性が良いんですが、epixと並べると暗く味気なく見えます。epixは6万5000色を表示できますが、fenix 7では64色(1,000分の1)しか表示できません。epixのディスプレイのピクセル密度は326ppiですが、fenix 7は200ppiです。この差は地図を見ると歴然で、epixではピクセル密度が高い分、より細い線が見えるので、そんなにズームしなくてもルートが確認できます。
epixもfenix 7もタッチスクリーンなので、デフォルトで入ってるオフラインの地形図(無料です)の操作も前よりずっと簡単になりました。Garmin Pay(NFC決済システム)を使う場合、パスコードを入れるのもやりやすいし、設定を変えるのもラクです。同時に、fenixシリーズ標準の5つの物理ボタンも付いてて、これがすごくありがたいんです。水中や分厚い手袋を着けているときも、画面をタッチするためにどうのこうの考えなくていいんです(デフォルトでは運動開始で無効になるんですが、設定で簡単に変えられます)。タッチできなくても、ボタンを押せばいいんです。スタート/ストップボタンにはガードも付いたので、今までガーミンのウォッチで問題になりがちだったうっかり押しも防げるようになりました。小さなことのようだけど、こういう点は大事です。
epixもfenix 7もスマホからの通知を表示できて、Androidならテキストメッセージにちょっとした返信もできます。返信内容はプリセットされたものもあるし、自分用にカスタマイズもできます。Apple(アップル)はサードパーティに対してメッセージへのアクセスを許してないので、iPhoneだとウォッチからの返信ができないんですが、だからiPhoneユーザーには勧められないってほどじゃないです。
epixもfenix 7もWi-Fi、Garmin Pay、音楽再生機能が入ってます。MP3ファイルがあれば転送できますが、Amazon MusicやSpotifyのプレイリストにも(有料版のみ)対応。僕はランニング中はほぼ必ず音楽を聴くので、イヤホンをウォッチとつないでスマホなしで走りに行けるのはすごくナイスです。運動中に喉が渇いたら、コンビニなど非接触決済対応のお店に寄ってスマウォで好きなものが買えます。epix、fenix 7のレギュラー版はストレージが16GBですが、サファイアエディションは32GB(プラス、スクラッチ耐性が若干高い画面と、チタンのベゼル、そしてマルチバンドGNSSが)の容量があります。epixもfenix 7もマイクがないので音声コマンドは使えず、ちょっと残念ながらLTEバージョンもありません。他のガーミンウォッチにはLTEバージョンがある機種もあるんですけどね。
決め手はバッテリーライフ
ここまでガーミンの他のバージョンの話をちょいちょい入れてますが、fenix 7シリーズにはやたらいろんな選択肢があります。わかりやすいとこでは、サイズが3つ(42mmの7S、47mmの7、51mmの7X)あるし、それぞれスタンダード、ソーラー、サファイアのソーラー版があります(7Xだけスタンダードなし)(訳注:記事翻訳時点で、日本では非サファイアのソーラー版発売はなし)。epixにはスタンダードとサファイアがあり、サイズはfenix 7と同じ47mmです。fenix 7のソーラー版は、バッテリーライフという意味で有利です。画面のソーラーパーツはfenix 6より大きくより効率良くなってるので、そこそこ明るい日に屋外にずっといたら、その違いを感じられるはずです。
epixでなくfenix 7を選ぶとしたら、この点が唯一の理由です。つまり、バッテリーライフです。とはいえepixだって常時オンモード(寝てるとき以外、最低限で時刻が常時表示)で6日間持つはずで、2日も持たないApple Watchと比べると特に悪くはないですね。でも、fenix 7の18日、7Xの28日と比べてしまうと見劣りするかもしれません。さらにソーラー版なら、fenix 7は最長22日、7Xは37日にまで伸ばせます。ただしこの数字はスタンダードなスマートウォッチモード(常時健康トラッキングや通知など)の場合で、より負荷のかかるGPSを使った運動は考慮してません。epixをジェスチャーモードにして、つまり手首を傾けるまで画面はオフの設定にしておけば、バッテリーライフは16日に伸び、AMOLEDディスプレイの時計にしてはかなりの持ち時間になります。ジェスチャーモードはVenu 2ではイマイチでしたが、epixではほぼ完璧に機能していて、ちょっと傾けるだけでパッと画面が明るくなりました。
通常のGPSモードでは、epixでは30時間トラッキングできましたが、fenix 7の57時間、7Xの89時間(ソーラーなしでこの長さ!)よりは短かったです。ジェスチャーモードにすると、epixの持ち時間は42時間に伸びます。Max Battery GPSモードにすれば、epixでも75時間トラッキングができますが、これもfenix 7の136時間(ソーラー充電使用で289時間)、fenix 7Xの213時間(同578時間)と比べると短く感じられます。
バッテリーに関してもオプションやモードがありすぎて、比べたくても土俵が違ってしまうことが多いんですが、とにかく考えるべきは、何にどう使うかってことです。僕自身は、epixを超長距離のレースに使おうとは思いません。でも、たとえばepixで丸2日間スノーボードをトラッキングして、その前後にスマートウォッチとしてもだいぶ使いましたが、それでもかなりのバッテリーが残ってました。ジェスチャーモードでも特に不便はなくて、2週間に1回、1時間くらい充電すれば全然大丈夫でした。ただ、もし数週間に及ぶ超長距離のトレッキングにモバイルバッテリーなしで行くなら、fenix 7にしておいたほうがいいです。あとfenix 7Xには外付けLEDフラッシュライトが付いてます。それでも僕にとって、epixの美しい画面は充電回数が増えても選ぶ価値があります。
唯一の欠点:ソフトウェア
とはいえepixは完ぺきではなく、その問題の多くはソフトウェアにあります。ガーミンのUIはだいぶ進化しましたが、まだまだ全然直感的じゃない要素がたくさんあります。epixに音楽を入れる方法のチュートリアルも良いものがなくて、僕はGoogleで探さざるをえませんでした。HIITとか筋トレといった運動をウォッチに入れる方法も(どちらの運動も、アニメーションはepixに入ってるのに)同じくです。epixはそれをGarmin Connectアプリで追加するように言ってきますが、アプリのその部分を直接開いてくれるわけでもないし、アプリのどこにその設定があるか教えてくれるわけでもありません。Garmin Connectアプリには接続にもおかしいところがあり、スマホとepixの接続をキープするのに四苦八苦しました。さらに、ルート(ハイキングとかサイクリングするときに追っていきたい地点情報付きの道)をepixにインポートするには、いろんなわかりにくいハードルをいくつも乗り越えなきゃいけないんです。
あと僕は、スマホ(Google pixel 6 Pro)とepixが急に接続と切断を繰り返すおかしな事案にも遭遇しました。そんなときでも一応データは同期されるんですが、Garmin Connectアプリ内からepixに対する変更ができません。さらに、epixはスマホと接続・切断するたびに振動するんです。今朝も6時からその問題が発生し出して、目が覚めてしまってもうウンザリしてました。これは新規のバグらしく、ガーミンに見解を聞いてますが、現時点でまだ回答はありません。
買う価値ある?
問題点はさておき、epixは今まで使ったどのスポーツウォッチよりもはるかに満足度高いです。スノーボードでは、epixでズームインして自分が滑ってるルートの名前を確認できて、友達と落ち合う場所を伝えられました。ハイキングのときはトラックバック機能を使い、クリアでカラフルな地図を見ながら、トレールの最初に簡単に戻ることができました。サーフィンでは乗った波の数を数えてくれました。夕暮れランでも日中と同じくらいデータがクリアに見えました。Body Battery機能(回復状況を測定)は、僕の感覚的にはWhoopのWhoop Scoreよりも正確で(Whoopはそれしかできないデバイスなのに)、睡眠トラッキングもベターです。控えめなデザインでウェアの袖に引っかからないし、何とでも合わせられます。
そうは言っても、epixは安くありません。スタンダードが900ドルから、サファイアエディションだと1,000ドルもします。fenix 7と7Sはスタンダードが700ドル(日本国内価格:9万3500円)からで、ソーラーエディションが800ドル(約9万2000円、日本版なし)、7X Solarが900ドル(約10万4000円、日本版なし)、Sapphire Solar 7と7Sが900ドル(日本国内価格:12万1000円)、Sapphire Solar 7Xが1,000ドル(同13万7500円)です。かなり懐に痛いお値段です。
あとはサイズの問題もあります。手首の細い人は7Sの方がいいかもしれません。fenix 7とかepixは7Sより大きいですが、あまりに巨大でどんな袖でもストラップでも引っかかりまくる7Xほどじゃありません。みんなすごく良いスポーツウォッチで、どれでも買えば気にいると思いますが、どれか選ぶとしたら絶対にepix(できればサファイアエディション)です。これだけ多才なウォッチにこれだけきれいな画面が載ってれば、今まで使った中でベストなウォッチになるよね、って思います。