沿って, Uav-jp 28/12/2022

映画館で極上ミステリー・クルーズを体感!名探偵ポアロと巡る『ナイル殺人事件』の舞台、神秘に満ちた古代エジプトへ

ピラミッドにナイル川など『ナイル殺人事件』の舞台となった名所を紹介

イギリスを代表するミステリー作家で、世界的に最も売れた作家としてギネスに認定されたアガサ・クリスティ。巧妙なトリックと奥深い人物描写で“ミステリーの女王”と呼ばれた彼女の代表作「ナイルに死す」を映画化したのが『ナイル殺人事件』(2月25日公開)だ。監督&主演は『オリエント急行殺人事件』(17)に続いてケネス・ブラナーが担当。監督作『ベルファスト』(3月25日公開)が本年度アカデミー賞で7部門ノミネートされ、ますます注目を集めるブラナー。そんな彼が演じる名探偵エルキュール・ポアロは、かつてない哀しき事件に直面する。【写真を見る】巨大なピラミッドとスフィンクスを眺めながら優雅にお茶をする名探偵ポアロ■愛の数だけ秘密がある…新婚旅行中の美しき大富豪殺害の謎にポアロが挑むハンサムな青年サイモン(アーミー・ハマー)と結婚した美しき大富豪リネット(ガル・ガドット)は、新婚旅行でエジプトを訪れた。この地で休暇を楽しんでいた探偵ポアロは、若き友人ブーク(トム・べイトマン)の計らいで、リネット主催で行われるクルーズ船「カルナック号」での船上パーティに招かれる。出席者は、シンガーや財産管理人、医師、メイド、名付け親などリネットの知人ばかり。しかしそのなかに、リネットの親友だったジャクリーン(エマ・マッキー)が紛れ込んでいた。ジャクリーンはサイモンの元恋人であり、親友に略奪婚をされたことから2人につきまとっていたのだ。そして、ナイル川をクルーズ中の夜、リネットは何者かに殺害されてしまう。犯人はジャクリーンと思われたが、彼女には完璧なアリバイがあった。ポアロは乗船していた全員にリネットを殺す動機があったことを突き止める…。そう、今作でポアロが挑むのは、クルーズ船という密室で起きた殺人事件。そして、物語はリネット、サイモン、ジャクリーンの三角関係を軸に展開し、乗客たちが秘める様々な“愛”がドラマチックに描かれる。明晰な“灰色の脳細胞”をフル回転させ、愛憎や嫉妬、欲望が複雑に絡み合った人間関係の糸を解いていくポアロは事件の裏に隠された衝撃の真実を暴きだす。謎が謎を呼ぶミステリアスな本作を盛り上げるのが、雄大なロケーションの数々。古くから文明が栄えていたエジプトは、世界遺産を含む古代遺跡の宝庫。歴史の香り漂う名所を豪華クルーズで巡るポアロたちの旅を眺めることで、映画館にいながらゴージャスなエジプト旅行が満喫できる。■旅の始まりにふさわしい巨大なギザのピラミッドエジプトに入って最初に登場するのが、広大な砂の大地にそびえ立つギザのピラミッド。クフ王、カフラー王、メンカウラー王が眠るという3つの巨大ピラミッドを中心にした墓地遺跡だ。最も大きなクフ王のものは、130mを超える高さ。世界遺産にも認定されたその全貌を、上空からゆっくりとらえたカメラワークは圧巻!ディテールまで映しだされた緻密な映像で、ピラミッドを目の当たりにしているような臨場感も味わえる。壮大なピラミッドを前に優雅にお茶をするポアロとブークが偶然再会したことで、今回の旅は幕を開ける。■人間の頭とライオンの体を持つ巨大な彫像スフィンクスそんなピラミッドのすぐ近くに建つのが、エジプトを代表するもう一つの巨大建造物スフィンクス。人間の頭とライオンの体を持つ石の彫像は、最大のもので高さ20m、全長は70mを超える。その役割はピラミッドの守護と言われているが、いつ、なんの目的で作られたのかも解明されていない神秘的な石像だ。カフラー王のピラミッドと大スフィンクスを正面から重ね見る、絶景ポイントからの映像は息をのむ迫力!■色とりどりのアフリカの産物がそろう、アスワンマーケット活気あるオリエンタルな空間が広がる市場はエジプト観光名所の一つ。南部の中心地にあるアスワンマーケットは、エジプトやアフリカの産出物が並ぶ巨大な市場だ。農産物や香料、衣料、雑貨など色とりどりの品々は、砂漠のなかではオアシスのよう。そんなアスワンマーケットで、ポアロは一人たたずむジャクリーンの姿を発見。会話を通して彼女が抱くサイモンへの未練や、実はバッグに小型の拳銃を隠し持っていることを知る。■宮殿みたいな五つ星ホテル、オールド・カタラクト・アスワンポアロが幸せの絶頂にあるリネット&サイモン夫妻には初めて会うのが、ナイル川を臨む5つ星ホテル、ソフティル・レジェンド・オールド・カタラクト・アスワンである。19世紀末にイギリス人が設計したこのホテルは、豪華絢爛なビクトリア様式の建築物で、まるで宮殿さながらの荘厳さだ。かつてクリスティも滞在し、「ナイルに死す」を執筆し始めた場所としても知られている。なお殺人事件の現場になった豪華クルーズ船カルナック号はフィクションだが、モデルとなった汽船が存在する。エジプト王家のために建造され、のちにクルーズ船となったスーダン号で、クリスティもこの船でナイル川クルーズを楽しんだという。スーダン号は手を加えられながら現在も運航を続けており、クリスティが使ったスイートルームは高い人気だという。■ラムセス2世の巨像が並ぶ世界遺産、アブ・シンベル神殿世界遺産に認定されたアブ・シンベル神殿は、紀元前1280年頃ラムセス2世によって作られた大神殿。正面には20mを越えるラムセス2世の巨像が並び、その足もとには家族の像が立っている。ナイル川沿いの岩山を削った岩窟神殿で、砂に埋もれていたが19世紀に掘り起こされた。ダム建設のため1960年代に4年がかりで移設工事が行われ、それを機に遺跡保護の気運が高まり世界遺産条約が誕生した経緯を持つ。映画ではクルーズの途中で乗客たちが立ち寄り、神秘的な神殿内を散策。リネットが何者かに命をねらわれたり、その後の展開の伏線になりそうな会話をポアロが乗客たちと交わすなど、事件の起点となる場所として登場する。■全長約116m、横幅約48mの大きさを持つカルナック号のセット映画のおもな舞台となるカルナック号は、スタジオ内に全長約116m、横幅約48mの船体セットを建造。人々が客室やフロアを行き来する様が自由なカメラワークで描かれる。ほかにもオールド・カタラクト・アスワンは、実際のホテルを見学した美術スタッフがロビーやホール、中庭を含め1930年代当時のホテルをセットで完全再現。アブ・シンベルの神殿のセットは圧巻で、実物の神殿を測量し巨像が立つ神殿がスタジオに作られた。そんな本作の撮影に使われたのが65mm(70mm上映用)フィルムのIMAXカメラ。一般的な35mmと比べ、面積比で約3倍というラージフォーマットのため緻密な映像が可能となる。俳優たちの顔をクローズアップしなくても表情を捉えることができるため、アンサンブルキャストが群像劇を繰り広げる今作ではその特性を発揮した。■上流階級のセレブたちを演じたキャストたちの衣装にも注目!本作の登場人物は、大富豪の娘で相続人リネットにゆかりのある上流階級のセレブたち。彼らの豪華な衣装や装飾品も見どころだ。衣装デザインはヒュー・ジャックマン主演『レ・ミゼラブル』(12)など2度のアカデミー賞ノミネート経験を持つパコ・デルガドが担当。1937年の衣装を忠実に再現するだけでなく、情熱的なキャラクターの内面を代弁することに重きを置いたという。また、当時の映画スターの衣装も参考に、赤やオレンジなど色調を含め現代的な要素を取り入れ、いまで見ても十分に映える衣装を心掛けたそうだ。重要なアイテムとして劇中に登場するティファニーのイエローダイヤモンドなど、上質な装飾品にも注目したい。冒頭でも説明したとおり、“愛”をテーマに豪華クルーズと謎解きミステリーが展開される本作。もともとクリスティは推理小説のほか、メアリ・ウェストマコット名義で「暗い抱擁」「愛の重さ」など恋愛小説も執筆(日本ではアガサ・クリスティとして出版)。本作はそんなクリスティの持ち味が生かされた作品といえる。ただし今回の映画は、『オリエント急行殺人事件』にも登場した映画オリジナルの登場人物ブークが絡んだことや、ポアロ自身の愛にまつわる秘密が明かされるなど、原作を読んだ人も驚くような展開を見せていく。映画だけの謎解きが味わえるのも『ナイル殺人事件』の魅力なのだ。文/神武団四郎

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