完全ワイヤレス、ソニー「WF-1000XM4」人気の理由 - 古田雄介の家電トレンド通信
e☆イヤホン秋葉原店 本館の1階にある完全ワイヤレスイヤホン売り場。東谷圭人氏にナビゲートしてもらった
今回は、イヤホン専門店のe☆イヤホン秋葉原店 本館を訪ね、完全ワイヤレスイヤホンの売れ筋を聞きました。完全ワイヤレスがイヤホンの主流となって久しいですが、購入層は順調に広がっているそう。同店の東谷圭人氏は「1万円以下で買えるカラーバリエーションが豊富な入門機がたくさんありますし、10代のお客さんにも喜ばれています」といいます。【写真】1万円ちょいの2位ソニー製「WF-C500」。入門機として完全ワイヤレスを試してみたい人にお勧め最近は、ノイズキャンセリング機能(NC)を重視する人が特に増えているそうです。「(2019年に)AirPods Proが登場して、一気にNCの認知度が上がりました。そこにコロナ禍によるリモートワークの増加や通勤電車の騒音アップなどの背景も重なって、需要が増していますね」最新の動向から、「完全ワイヤレスイヤホン選びの3つのアドバイス」を挙げてもらいました。それを踏まえて、直近の人気トップ5を追いかけていきましょう。<完全ワイヤレスイヤホン選びの3つのアドバイス>入門機であれば1万円以下から選べる。NC搭載モデルもいくつか選択肢に入れられる。音質や機能、付け心地、再生時間などで優先順位を付けると、迷ったときに決めやすい。イヤーピースはサイズ違いが付属するほか、多くは社外品にも交換できる。あわせて検討を。※本文と写真で掲載している価格は、取材した2021年10月12日11:00時点のe☆イヤホンWeb本店価格のものです。日々変動しているので、参考程度に見てください。第1位:前モデルよりさらにNCを向上させた「WF-1000XM4」人気トップとなっていたのは、ソニーの「WF-1000XM4」です。ロングヒットしていた前モデル「WF-1000XM3」の後継として2021年6月に登場し、以来同店の一番人気を走り続けているとのこと。取材時の価格は28,260円でした。「NCブームのなかでもNC性能において抜く存在がなかったWF-1000XM3ですが、WF-1000XM4はそれを超える性能を搭載したモデルとなります。NC性能が非常に高いので、ノイズを減らしたいという目的が最優先で選ぶなら間違いなくコレになります。高価なモデルですが、購入層は本当に幅広いですね」第2位:1万円ちょっとで買えるソニー製「WF-C500」2位もソニー製品が挙げられました。2021年10月に登場したばかりの「WF-C500」で、価格は11,000円。アイスグリーンとコーラルオレンジ、ホワイト、ブラックの4色が店頭に並んでいました。「NCは非搭載ですが、予算を抑えつつソニーのサウンドクオリティを求める人、入門機として完全ワイヤレスを試してみたい人にお勧めですね。カバーを含めてかわいいデザインで、若い人を中心によく売れています」第3位:6,480円で7色選べる「COTSUBU」続く3位も、NC非搭載のエントリーモデルが続きます。agの「COTSUBU」で、取材時の価格は6,480円。片側3.5gの軽くてコンパクトなデザインで、バリエーションをブラック/ブラウニー/ストーン/スカイ/スノウ/クリーム/サクラの7色を揃えています。「価格的にも買いやすくて、見た目もかわいいということで、特に若い人に支持されています。一方で、ハイエンドオーディオで有名なfinalが手がけているブランドということもあり、オーディオファンにも注目されています」第4位:NCブームを映し出す「CX Plus True Wireless」4位には、ゼンハイザーのNCモデル「CX Plus True Wireless」がランクインしました。2021年9月末に登場したばかりの製品で、取材時の価格は19,602円となります。ゼンハイザーのブランド力と2万円前後の価格帯から、かねてからオーディオ好きな層を中心に選ばれているようです。「同社の完全ワイヤレスは、上位の『MOMENTUM True Wireless』シリーズと下位の『CX True Wireless』シリーズがあります。CXはNCなしの仕様でしたが、このCX PlusでNCをプラスしたかたちですね。市場のNCブームを背景に生まれたラインナップかなと思います。インフルエンサーの方にも好評で、そこから興味を持ったという方もよく来店されます」第5位:Jabraの通話性能を1万円で「Elite 3」5位も入門機クラスとなります。Jabraの「Elite 3」で、価格は9,900円。NCは非搭載ながら、ヘッドセットでも通話性能に定評がある同社の安価な完全ワイヤレスモデルということで、2021年9月の発売当初から幅広い層に売れているそうです。「自分の声がきれいに相手に届くと評判のブランドで、初回から1万円を切るモデルということで注目されています。テレワークや友達との通話、あとは生配信用に買っていく方もいらっしゃいます」はみ出し情報…2作目にして日本のニーズにフィットしたBeatsトップ5以外の注目株として、東谷氏はBeatsのNCモデル「Beats Studio Buds」を挙げます。2021年8月に登場した同社の完全ワイヤレス2作目で、取材時の価格は16,020円でした。カラーはブラックとホワイト、Beatsレッドの3色になります。「同社の1作目『Powerbeats Pro』はスポーツ向けという位置づけで、イヤーフックつきのためカバーも大きく、NCも非搭載でした。今作はカバーも本体もコンパクトで、しかもNC付き。日本のニーズにフィットして、より大きな反響を得ています」 著者 : 古田雄介ふるたゆうすけフリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。