『ROG Phone III』最強のゲーミングスマホが正統進化。先代の魅力と合体パーツをすべて受け継ぐ最新機種を実機レビュー
ASUSのゲーミングPCブランド“ROG”のノウハウが惜しみなくつぎ込まれた、ゲーミングスマートフォン『ROG Phone』シリーズ。その第3弾となる最新機種『ROG Phone III』が、2020年7月8日(水)の海外向けオンライン内覧会で発表された。
広告本稿では、内覧会でフィーチャーされた5つのセールスポイントを軸に、実機のサンプルを触ったうえでの感想も交えて、『ROG Phone III』の詳細を紹介していく。
そもそも『ROG Phone』シリーズはどのような機種なのか。ゲーマー向けであると同時に“ふだん使いにおいても最高”という両面の魅力について、初代『ROG Phone』から使い続けている筆者の視点からお伝えしていきたい。
なお、内覧会の内容は海外販売モデルのものであり、日本での販売モデルではパーツやスペックの一部が変更になる可能性がある点にはご留意いただきたい。
5つのセールスポイントから本気の魅力を探る
まずは内覧会で判明した『ROG Phone III』海外版のスペックや魅力に迫っていこう。
パーツ類は最新のものが採用されており、CPUクロックは3.1GHzに到達。ストレージはUFS 3.1接続になったことで3.0よりも読み書き速度が15%向上。そして、メモリは16GB。もはやPC並みだ。
Wi-Fiは“802.11ax”に対応。これは2019年に登場した通信規格で、従来の4倍の実効スループット(実際に使用していく中でどれくらいの通信速度が期待できるかという安定性)を誇る。有線通信との速度や安定性の差は、ほぼなくなったと言えるだろう。
ベンチマークテストでは他社の最新機種を圧倒する結果を叩き出しているようだ。『ROG Phone II』登場時と同じく、3Dゲームの処理においても最高のパフォーマンスを出せる。
これだけのハイスペックとなると、心配になるのは本体の発熱。『ROG Phone III』では先代機種と同じくROGのゲーミングPCで培った空冷構造のノウハウが活かされていることに加え、ヒートシンクがなんと6倍に大型化。圧倒的な冷却能力を実現しているという。
ここまでの冷却機能があっても、最新の3Dゲームをプレイするときは油断は禁物。そこで活躍するのが、歴代シリーズでも付属していた外付け冷却ユニットの最新版“Aero Active Cooler 3”だ。
強力な冷却機能に静音と軽量を兼ね備えており、発熱によるさまざまな弊害を大きく抑えられる。
最新のゲームがカクつくことなく動くということは、対戦ゲームなどに本気で取り組むゲーマーにとっては何より心強いはず。ゲーマー以外の層にとっても、高画質の画像や動画を表示する際の動作が、とても快適に感じられるかと思う。
PCに詳しくない人にPCを紹介する際に、「ゲーミングPCを買えばスペックはまず問題ない」と勧める人も多いことだろう。『ROG Phone』シリーズは、まさにそのスマホ版といえる。
ディスプレイのサイズは前モデルとまったく同じ。『ROG Phone II』ではリフレッシュレート(1秒間の間に画面を描き変える回数)が120Hzだったが、『ROG Phone III』では144Hzにパワーアップした。滑らかな表示能力については、もはやゲーミングPCのモニターと同レベルに達している。
一般的なスマホではリフレッシュレート60Hz、表示可能色が約1677万というスペックがいまなお受け入れられている昨今。この性能は破格といえるだろう。
画面タッチに対するレイテンシー(反応速度)は前モデルの時点で49ms。一般的なスマホと比べても速すぎるほどだったが、『ROG Phone III』では25msというとんでもない数値に達した。FPSでの早撃ち勝負において、これで優位に立てる!
スペックが高いのはうれしいものだが、常時フル回転させるとなると、バッテリーの消耗や本体の発熱、ひいては筐体の寿命にも影響しかねない。
それを解決するため、『ROG Phone』シリーズではCPUファンの出力調整などを一時的にブーストする“Xモード”を用意。ふだん段使いの機能抑えめモードと、ゲームで本気を出すモードで使い分けられる。
『ROG Phone III』ではこのXモードが“Enhanced X mode”として進化し、さらに使いやすくなったようだ。
いわゆる“熱暴走”によるゲームのカクつきやフリーズなどが原因で、対戦ゲームで悔しい思いをしたことがある人は多いだろう。『ROG Phone III』なら、冷却機能やXモードの活用により、3.1GHzのCPUクロックを長時間維持し続けられるため、それらが起こることはまずないのだ。
また、スペックだけでなくゲーム中の利便性についても、大幅な改良がなされている。
ゲーム中にワンタップで起動でき、Xモードの設定やゲーム中の着信や通知の拒否、画面の録画やマクロ機能の起動などが一括管理できるアプリケーション“GAME GENIE”に、ゲームと同時にTwitterやLINEなどのSNSやYouTubeの動画などを表示できるフローティングウィンドゥ機能が追加された。
こうしたソフトウェア面で得られる恩恵だけでなく、筐体のハードウェア面でもゲーマーが使いやすい工夫が随所に施されている。
たとえば、『ROG Phone II』までと同じく、筐体底面だけでなく側面にもTYPE Cコネクターがあるため、充電ケーブルを差しても使用時の邪魔にならない。
また、『ROG Phone III』本体は前モデルとほぼ同じデザインだが、3.5mmイヤホンジャックがない点が異なっている。しかし同梱のTYPE C用のアダプターを使えば本体にイヤホンを接続でき、先述の外付けクーラーにもジャックが備えられているので、実際に触ってみると不便はとくに感じなかった。
2ヵ所でTYPE C接続できるため、イヤホンアダプターを片方に差しつつ、もう片方にUSBケーブルをつないで充電、ということができるのもありがたい。
横持ち時にはゲームコントローラーのL/Rボタンのように機能する超音波センサースイッチ“AirTrigger”も進化。筐体の3ヵ所に備えており、モーションセンサー機能を追加したことで、筐体全体を傾けたり動かしたりする動作にも反応するようになった。
センサースイッチは特定のアプリを即座に起動するショートカットボタンとしても使えるので、ゲーム以外の場面でも、LEDライトや電卓アプリなどをとっさに起動できたりと、じつに便利な機能だ。
また、アンテナとマイクを複数の箇所に搭載することで、通信環境とボイスチャットの安定性が格段に向上した。音響面についても、前モデルから引き継いだデュアルフロントスピーカーに加え、さまざまなチューニング機能によってより鮮明なサウンドを実現しているという。
昨今はテレワークの普及も影響し、通信相手とのよりクリアーなやり取りが求められるようになった。ゲームでは仲間とボイスチャットをしたり、敵の足音で位置を予測したりなど、音質も重要。最新鋭の音響機能は、そのままふだん使いにも活かされるはずだ。
ここまでのハイスペックを維持するとなると、バッテリー残量があっと言う間に尽きそうにも見える。だがその心配はほぼ無用だ。
『ROG Phone III』には大容量の6000mAhバッテリーと、管理用AIチップを搭載することで発熱を抑えつつ高速充電が可能な充電器が用意されている。
さらに、細かなカスタマイズが可能なバッテリー管理ユーティリティーによって消費を格段に抑え、連続使用可能時間を向上。
また、バッテリーをより長期間高品質に保つ管理ユーティリティーも搭載している。これは、充電のタイムスケジュールを設定し、決められた時間に低速かつ最大まで充電しないことでバッテリーの劣化を防ぐというものだ。
バッテリーの寿命が延び、交換の手間が省ける点もすべてのユーザーにとってうれしいところだろう。
『ROG Phone』シリーズと言えば、本体同梱の外付けクーラーをはじめとしたアクセサリー類が魅力だ。TYPE Cコネクターに接続、いや“合体”させることによって機能を拡張できる。本機でもその傾向は健在だ。
なお、ASUSはUnityの検証済みソリューションパートナーであり、またゲームクラウドサービス“Google Stadia”ともパートナー提携をしている。拡張ソフトウェアの開発がしやすい環境を確保したことで周辺機器の幅が広がっただけでなく、今後の期待が高まるクラウドゲームへの対応も万全なわけだ。
『ROG Phone III』は前モデルの規格を受け継いでおり、『ROG Phone II』用のアクセサリーにも対応している。逆に『ROG Phone III』の新アクセサリーも、『ROG Phone II』で大半が使用可能だ(一部に制限はある)。初代から二代目に代変わりした際に、アクセサリーの互換性がなくガッカリしたユーザーも(筆者も含めて)多かったかと思う。今回はその心配はない!
つまり、前モデルのスペックで満足しているユーザーは、そのまま継続しつつ最新のアクセサリーも使用できる。ゲーミングPCの「自分に合ったスペックや価格帯のものを選べる」という利点が、『ROG Phone』でも実現したといえるだろう。
以降、内覧会や実機の方で判明した『III』用のアクセサリー類について概要を紹介しよう。
本体同梱には標準ケースが同梱。そのほかに、背面全体にLEDが配置され、ゲーミングPCのように自由に発光パターンを設定できる“LIGHTING ARMOR CASE”や、蛍光色の“NEON AERO CASE”も用意されている。
本体を接続することで、本体と同等のスペックを持つもうひとつの画面を使用可能となる“TwinView Dock 3”。ゲームによってはレーダー画面などをふたつ目の画面に表示できるほか、上の画面で動画を見つつ下の画面でゲームをプレイするなど、別々のアプリを同時に表示可能だ。
空冷ファンと大容量バッテリーも搭載しているため、外付けバッテリーとしても機能を発揮する。
前モデルまではTYPE C端子で拡張ゲームパッドを接続していたが、『ROG Phone III』のゲームパッドはBluetooth接続に対応。本体に装着するもよし、本体と切り離して遠隔操作をするもよしと、さまざまな使いかたが可能になっている。
スマホでゲームをプレイする際に、手に馴染んだ愛用コントローラーをUSB接続で使っている人も多い。“ROG Clip”はその接続の際に、『ROG Phone III』本体とコントローラーの固定、ならびに角度調整ができるアクセサリーだ。
お気に入りのコントローラーでプレイしてこそ、ハイスコアや対戦での勝利を叩き出せるというゲーマー諸兄も多いことだろう。そんな今どきのニーズに応えたアクセサリーだ。
実際手に取ると、設計面の完成度の高さをより感じる!
内覧会ではスペックの詳細等については触れられず、また日本での販売形態も明かされなかった。
参考までに、前モデルの『ROG Phone II』は、512GBストレージのモデルが10万5500円[税別]、1TBストレージモデルが12万5500円[税別]で販売された。スペックのわりには手ごろな価格に収まっていたので、最新モデルでもそれに期待したいところだ。
サンプル筐体を手に取ってみると、『ROG Phone II』から重量についてはほぼ変化がなく、サイズは画面も含めて完全に同一。当然、筆者の手にはなじむ。
なお、背面カメラの周辺がやや出っ張っていることに当初は違和感があったが、実際に使っている間にその突出部分が手に触れたりして気になることはなかった。保護ケースを付けると、出っ張り部分も完全に気にならなくなる。
AirTriggerでのアプリの即時呼び出し、カメラの起動の速さ、画面のきれいさ、タッチへの反応の素直さと、『ROG Phone II』で筆者がゲームプレイ時以外でも満足している要素が、ユーザーライクに進化。『ROG Phone II』を一応の完成形としつつも、その後継モデルは、スペックと使い勝手の両面でより高みに達しているわけだ。
ゲーミングスマートフォンと聞いて、“ゲームに特化したスマホ”というイメージを抱く人が多いかとは思う。
もちろん間違いではないが、筆者としては『ROG Phone』シリーズは“ゲームに特化した結果、それ以外での使い勝手も最高水準に達したスマホ”だと思っている。しかも、それがいまどきのゲーミングPCのように、各地の量販店などで安価な分割払いなどで気軽に購入できるのだ。
ゲーミングPCブランドとしてロングラン商品を数多く世に出してきた、ROGならではの“ゲーミング”に対する姿勢もまた、各部の進化とともに感じ取れた。
個人的に、これから最新鋭ハイエンドスマホを買おうという人には、「何もかも問題ない!」とオススメしたいと思っている『ROG Phone III』。日本での発売時期やその仕様などについての続報に、ぜひ注目していただきたい。