沿って, Uav-jp 15/09/2022

ソニーの「WF-1000XM4」は、ワイヤレスイヤフォンの新たな頂点に立った:製品レヴュー

王者を狙うなら、心してかかることだ。ソニーは2017年にワイヤレスヘッドフォン「WF-1000X」を発売して以来、完全ワイヤレスのインナーイヤー型イヤフォン界の王者として君臨し続けてきた。そしてその間、フィデル・カストロよりも数多くの刺客をかわしてきた。

ところが最近は、イヤフォン界の王位継承者を名乗る製品が次々にレヴェルアップしていることも確かである。かくして19年発売の「WF-1000XM3」(Amazonの販売ページはこちら)は、その王冠に指先でどうにかしがみつく状態に陥ってしまった。

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こうしたなか発表された新モデル「WF-1000XM4」(Amazonの販売ページはこちら)は、自分を生まれながらの王者であると思っているかもしれない。だが、王位奪取を目論む製品はほかにも数多く存在する。

例えば4社だけ挙げるとすれば、ボーズ、Bowers & Wilkins(B&W)、グラドラボ、ゼンハイザーが投入した完全ワイヤレスのインナーイヤー型アクティヴ・ノイズキャンセリングイヤフォンは、どれも王位継承者は自分だと考えているかもしれない。いずれにしてもこれらの競合モデルには、その資格が大いにある。

WF-1000XM4は、競合製品に打ち勝つために必要な機能を備えているのか。それとも王位継承権を主張するソニーの試みは、血なまぐさい逆転劇に終わるのだろうか──。

ソニーの「WF-1000XM4」は、ワイヤレスイヤフォンの新たな頂点に立った:製品レヴュー

環境と耳の両方への負担を軽減

WF-1000XM4は従来の製品よりも環境に優しく、無駄が少なく、贅沢さも控えめだ。まるで現代の先進的な王室のようである。

ソニーはWF-1000XM4のパッケージを旧モデルの3分の1の量に減らし、すべてのパッケージにソニー独自の「オリジナルブレンドマテリアル」を使うようになった。これはリサイクルが容易で環境に優しい、プラスティックを使用していない紙素材パッケージだ。それを内箱や外箱、クッション、スリーヴなどのすべてに採用している。また、充電ケースはWF-1000XM3の大きめのケースと比べて40%小さく、イヤフォン本体も前モデルから10%の小型化を実現している。

ソニーは環境と耳の両方への負担を軽減する一方で、いくつかの新しいコンポーネントと機能を追加した。例えば、新開発の6mm径ダイナミック型フルレンジドライヴァー、アップグレードされたアンプ、圧縮音源をアップスケールする「DSEE Extreme」(音源をほぼハイレゾ級の高音質に変換できると楽観的に謳う)への対応、新しい「V1」プロセッサー、そしてより徹底したノイズキャンセリング技術といったものだ。

また、ワイヤレス接続にはBluetooth 5.2を採用し、左右のイヤフォンへの同時送信が可能になっている。さらにソニー独自のLDACコーデックを採用したことで、「ハイレゾオーディオワイヤレス」の認証を受けている(同製品はSBCおよびAACコーデックにも対応している)。

バッテリーの持続時間は「驚異的」というよりも、「十分」といったレヴェルだ。イヤフォンの使用可能時間は、カタログ値で8時間(アクティヴ・ノイズキャンセリング機能をオンにした状態)から12時間(同機能をオフにした状態)となっている。

小型化された充電ケースを利用すれば、さらに再生可能な時間が16時間ほど長くなる。5分の充電で1時間の再生が可能であることを考えれば、これは悪くない。また「Qi」規格のワイヤレス充電にも対応している。

細かな機能が充実

2020年に発売されたワイヤレスヘッドフォン「WH-1000XM4」(Amazonの販売ページはこちら)で新たに採用された操作性への細かな配慮は新モデルでも健在で、この点は評価できる。環境に最適化されるアダプティヴ・ノイズキャンセリング機能、イヤフォンを装着したまま会話できる「スピーク・トゥ・チャット」(言葉を発するだけで再生中の音楽が一時停止するので、チケットの購入やコーヒーの注文、マスクの着用を誰かに頼んだりもできる)、Androidデヴァイスとの高速ペアリングなど、どれも大歓迎の機能だ。