スキーで滑走中に“声”でコーチしてくれる「Carv Digital Ski Coach」は、ゲーム感覚で腕を磨ける驚きのウェアラブル機器だった
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2コメント2件COURTESY OF CARV
新しい装備を求める欲求には際限がない。だからこそウィンタースポーツの世界でウェアラブル技術がもっと広まっていないことは驚きである。ゲレンデで滑走した際のスピードや標高、距離といった情報はさまざまなアプリやスマートウォッチから取得できるが、特に便利とか革新的と思えるようなものはない。【動画】ゲーム感覚で腕を磨ける驚きのウェアラブル機器「Carv Digital Ski Coach」だが、多数のセンサーを搭載したスキーブーツのインソールとアプリを開発する英国のスタートアップのCarvには、新しいアイデアがある。同社は左右合わせて72個の圧力センサーとモーションセンサーによってスキーヤーの技能を分析し、リアルタイムのコーチングを提供するサーヴィスを提供しているのだ。Carvのデヴァイスを身に着けてゲレンデを滑走すると、バランスやエッジの立て方、ローテーション、圧力などを中心に13項目の指標がリアルタイムに測定され、「Ski:IQ」と呼ばれる技能スコアが算出される。そして、技能の向上に役立てられるヒントやアドヴァイス、トレーニング方法が、ユーザーに最適化されたかたちで伝えられる仕組みだ。このシステムは、米国プロスキーインストラクター連盟(PSIA)やカナダスキーインストラクター連盟(CSIA)のほか、スキー教室などを展開する英国のInterskiの協力を得て開発された。ユーザーに最適なアドヴァイスを提供するために数百万回ものターンを分析したことで、人間のインストラクターに期待されるような十分に試され効果が実証されたトレーニングを提供すると、Carvは説明している。実際のところ、このデヴァイスを使って週末の間にスキーの腕を上げられるのだろうか?
滑走しながらコーチング
Carvのインソールを取り付けるには、まずはスキーブーツの中敷きを取り出し、同梱されている粘着テープでケーブルを固定する必要がある。決してエレガントでわかりやすい取り付け方とは言えないが、アプリにはユーザーの助けになるよう手順を説明する動画が用意されている。実店舗で購入した場合は、プロに取り付けてもらうことをおすすめする。インソールを取り付けてバッテリーパックをクリップでブーツの外側にとめたら、次はキャリブレーションの作業だ。アプリの画面に表示される指示に従って、Bluetooth接続でインソールとアプリを同期させる。厚さ3mmのインソールと、ブーツの外側にクリップでとめたバッテリーパックは、いったん取り付けてしまえばじゃまになることはない。付けている感じもしなかった。すべて取り付けても、ブーツ1足あたり296g増えるだけである。必要な情報をアプリに追加し、ヘッドフォンを付ければ滑り出せる。イヤフォン(今回は「AirPods Pro」を使用)を使うことで、滑走中はリアルタイムでスキーのコーチングを受けられる。リフトに乗っている間は、周囲の迷惑になることなく詳しい指導を受けられる仕組みだ。実際に試してみてのアドヴァイスだが、イヤフォンは小型のものを使ったほうがいい。ヘルメットを上から被ると、大きめのイヤフォンだと不快に感じる場合があるからだ。ベストな選択は、Bluetoothスピーカーが内蔵されたヘルメットを使うことだろう。
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最終更新:WIRED.jp