遊休農地解消へ対策次々実践 香川・さぬき市農業委員会 – 全国農業新聞
さぬき市では、農業従事者の高齢化や減少などにより、全耕地面積2376ヘクタールの約5%にあたる129ヘクタールが遊休農地となっている。さらなる増加が懸念される中、同市農業委員会(松原俊幸会長)はドローンを活用した遊休農地の把握や地域特産品の開発による解消対策に取り組んでいる。
同委員会でのドローンの活用は、2018年度から始まった。活用のきっかけは、2017年に同市がドローン操縦士の育成を目的としたNPO法人との間で、災害時における協力に関する協定を締結したことだった。同市には現在、近年の多発する自然災害の被害状況の早急な把握と復旧を行うため、ドローン操縦士が多数在籍している。 同委員会では、山間地などで進入路が消滅し、人が立ち入ることが難しい遊休農地などの現況把握・調査のため、市にドローンの導入を要望。農地の利用状況調査での活用に向けて動き出した。
会長自ら資格取得
松原会長はまず、自らドローンの操縦技術を習得するため、同法人が行う操作研修会に参加して資格を取得。同委員会では2018年からこれまでに市内2カ所、計1.7ヘクタールを調査している。調査では、農業委員や農地利用最適化推進委員がドローンから送られてくる映像を見て現況を確認する。従来、見回りに約1時間かかっていた場所が15分ほどで完了。作業の効率化や安全の確保につながった。現在は松原会長の他にもう1人が資格を取得しており、農業委員や推進委員からの依頼があれば市が管理するドローンを借り受け、調査を行っている。
こうした遊休農地の把握の他、コウギクを活用した遊休農地の解消にも取り組んでいる。コウギクは中国茶のひとつとして親しまれているキク科の多年草で、食事前に摂取することで食後の血糖値の上昇を抑える効果があるといわれている。キクの香りやほのかな甘みがあるのが特徴だ。 同委員会では2020年から、遊休農地を活用した新たな市の特産品の開発を目指し、コウギクの栽培に取り組んでいる。まずは栽培を行っている福井県小浜市を視察。農業委員と推進委員自らが栽培の習熟や加工の研究に取り組んでいる。 コウギクの栽培は野菜などと比較して重労働にならず、高齢者でも取り組むことができる。同委員会では、山間部だけでなく平野部の狭小な遊休農地の対策になると期待している。また、美しい景観づくりの観点からも有効と考えている。 現在は摘み取ったコウギクの花を細かな粉末状にしてお茶にするなど、商品開発の試験を行っている。本格的な生産と販売に向け、今後も栽培と加工の研究を続ける予定だ。