スマートフォンからポラロイド写真を現像できる「Polaroid Lab」は、高価なのが玉にきず:製品レヴュー
物理的な世界というものは常に、デジタルの世界にない情緒的な感覚をもち合わせてる点が優れているようである。わたしたち人間は、スクリーンの存在しない世界で過ごしてきた年月があまりにも長いことで、Instagramに投稿された写真よりも、洗面台の鏡にテープで張り付けたポラロイド写真のほうを楽しむように刷り込まれているのではないだろうか。
少なくとも、それがポラロイドの望んでいることなのだ。カメラブランド「Polaroid Originals」の新しい写真プリンター「Polaroid Lab」は、スマートフォンの画面から写真を取り込んでポラロイド写真に現像してくれる。そう、父親世代(あるいは祖父世代?)が1970年代に使っていたポラロイドカメラから吐き出されていたような、本物のポラロイド写真だ。
結果としては、デジタルで撮影したスナップ写真を現実世界に持ち込む楽しめる方法になっている。ただし、高価なのが玉にきずだ。
「箱」に収められた暗室
新しいPolaroid Labは、Impossible Projectによる「Instant Lab」の2代目にあたる製品だ。ポラロイドは2017年にImpossible Projectを買収し、ブランドをPolaroid Originalsとして復活させた。結果として商標の問題を気にする必要がなくなり、商品名を変更したというわけだ。
これまで目にしてきた、ほかのあらゆるインスタントカメラやプリンターとは異なり、Polaroid Labは単にBluetoothでスマートフォンから画像を取り込んでプリントアウトするのではない。Polaroid Labでは、Polaroid Originalsのアプリを使って写真をスマートフォンに呼び出し、画面を下にしてLabの上に置く。するとLabがスマートフォンの画面を撮影し、プリント用に色を最適化した上で、ポラロイド写真を出力する。昔のポラロイドカメラと同様に、現像が完了するまでに15分ほどかかる。
Labの主眼はアナログに置かれているが、プリントした写真に動画を“埋め込む”機能も備えている。最近では、富士フイルムがインスタントフィルムを使えるカメラ「instax mini LiPlay」で音声を使った同様の機能を提供しているが、どちらも非常に違和感があり、受け狙いの印象を拭えない。
物理的な印刷物にはデジタルの動画を埋め込めないので、動画を観たい人はPolaroid Originalsのアプリをインストールしなければならない。ただし、このアプリをインストールすれば誰でも動画を見ることができる点には注意しておくべきだろう。
これによって、プライヴァシーに関する何らかのまずい結果を招くかもしれない。この機能がまったく役に立たないというわけではなかったら、なおさら心配になる。インスタントカメラ業界が、このアイデアを捨ててくれることを望もう。
印刷前のプレヴューは不可
受け狙いのような動画機能はさておき、使い方は非常にシンプルだ。Polaroid Originalsのアプリは、スマートフォンに保存されている任意のメディアファイルを選択できるし、アプリ内で画像を多少なら編集することもできる(画像を明るくすることをお勧めする)。