沿って, Uav-jp 03/04/2022

殺傷能力のある「自律型兵器」の普及は止まらない? 加速する技術の進化と、合意できなかった規制

この2021年は、これまで「将来的な懸念」とされてきた自律型致死兵器システム(LAWS)が、ついに戦場における「現実」になる様子を世界が目にした年として記憶されるかもしれない。また、政策立案者がこの問題への対策について合意に至ることができなかった年でもある。

国連の特定通常兵器使用禁止制限条約に参加する120カ国は12月17日(米国時間)、自律型致死兵器の開発や使用の制限について合意できなかった。代わりに議論を継続し、対策を「強化する」と誓うにとどまっている。

ジュネーヴに拠点を置く国際赤十字社で科学および政策のシニアアドヴァイザーを務めるニール・デイヴィソンは、「非常に残念です。そして機を逸してしまったことは間違いありません」と語る。この合意を得られなかった今回の会議の9カ月ほど前には、リビアの内戦で自律型致死兵器が初めて武力紛争に使用されたと国連が報告していた。


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自律型致死兵器の禁止に「反対」する国々の事情

近年、より多くの兵器システムが自律的な要素を組み込んでいる。例えばミサイルのなかには、具体的な指示がなくても特定のエリア内を飛行できるものもある。

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ただし一般に、攻撃を開始する際には人間が必要になる。そしてほとんどの政府は、少なくとも現時点では、こうした技術を使う際には人間を「介在」させ続ける予定だと説明している。

だが、人工知能(AI)のアルゴリズム、センサー、電子機器の進歩によって、より高度な自律型システムの構築が容易になった。このため殺傷力を行使するタイミングを自ら判断できる機械が出現する可能性が出てきている。

ブラジル、南アフリカ、ニュージーランド、スイスをはじめとして、自律型致死兵器を化学兵器や生物兵器、地雷のように条約で制限すべきと主張する国が増えている。ドイツとフランスは、人間を標的にする可能性のあるものを含む一部の自律型兵器の制限を支持している。中国は極めて狭い範囲の制限を支持している。

米国、ロシア、インド、英国、オーストラリアなどのほかの国々は、自律型致死兵器の禁止に反対している。戦略的に不利な立場に陥らないようするためには、そうした技術の開発に取り組む必要があるというのだ。

加速する自律型技術の進歩

殺人ロボットは昔から人々の想像力をかき立てており、SFの人気キャラクターやディストピア的な未来像の着想の源にもなってきた。また近年はAI分野に革新がもたらされ、特定の領域では人間を上回る思考力をもつ新しいタイプのコンピュータープログラムが誕生している。こうしたなか、より賢くなった機械がもたらす実存的脅威について、テック業界の大物たちが警鐘を鳴らすようになっている。

この問題は今年に入り、ますます緊急性を帯びてきた。2020年にリビアの内戦でトルコ製のドローン「Kargu-2」が使用されたと国連が報告したのだ。国民合意政府派の勢力が、リビア国民軍を率いるハリファ・ハフタル将軍を支持する部隊に対して、人間を標的にして攻撃する自律型のドローンを発射したという。

「兵站部隊および退却していたハフタル将軍側部隊は…無人戦闘機に追跡され、遠隔操作で攻撃された」と報告書は説明している。このシステムは「オペレーターと兵器間のデータ接続を必要とせずに目標を攻撃するようプログラミングされており、実質的に真の『ファイア・フォーゲット・アンド・ファインド(撃ち放しで標的を発見する)』能力を備えたものであった」という。