アストラの「Rocket3.3」ロケット、衛星を軌道に投入できず。フロリダからの初打ち上げ
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12コメント12件ケープカナベラル宇宙軍基地第46番発射台から打ち上げられたアストラの「Rocket3.3」ロケット
アメリカの民間宇宙企業アストラ・スペースは、現地時間2月10日に「Rokcet3.3」ロケット(LV0008)の打ち上げを実施しました。ロケットにはアメリカ航空宇宙局(NASA)の支援を受けて開発された超小型衛星4機が搭載されていましたが、打ち上げ中に問題が発生し、衛星を軌道に投入することはできませんでした。Rocket3.3(LV0008)はアメリカ東部標準時2022年2月10日15時に、フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第46番発射台から打ち上げられました。アストラのロケットがフロリダから打ち上げられるのは今回が初めてです。打ち上げの様子は海外メディアのNASASpaceflight.comによってライブ配信されました。ロケットからは打ち上げ約3分後に第1段が分離されましたが、ロケットに取り付けられていたカメラからの映像を見ると、第1段の分離直後から第2段が激しく回転している様子が確認できます。海外メディアでは、第1段のエンジン停止と第2段からの分離の間に行われるはずだったフェアリング(打ち上げ時に衛星を保護する部分)の分離に問題が生じた可能性が報じられています。同社は現地時間2月10日、Twitter公式アカウントにて「今日の飛行中に問題が発生し、ペイロードを軌道に届けることができませんでした。顧客であるNASAと小型衛星チームに深くお詫び申し上げます」とツイート。詳しい情報はデータのレビュー完了後に発表するとしています。
今回Rocket3.3に搭載されていたのは、NASAの「ELaNa 41」ミッション(ELaNaはEducational Launch of Nanosatellitesの略)の一環として選定された超小型衛星4機でした。アラバマ大学の「BAMA-1」は人工衛星が宇宙ゴミ(スペースデブリ)化するのを防ぐために帆を利用して迅速に軌道から外すための技術実証、ニューメキシコ州立大学の「INCA」は宇宙天気モデルの改善、カリフォルニア大学バークレー校の「QubeSat」は宇宙における量子ジャイロスコープの動作試験、ジョンソン宇宙センター(NASA)の「RS-51」はより安全で効率的な有人宇宙探査につながる技術実証を、それぞれ目的としていました。今回の打ち上げはNASAの小型衛星打ち上げ事業支援策である「VCLS Demo 2」(Venture Class Launch Services Demonstration 2)契約の一部です。アストラは2021年11月にRocket3.3の打ち上げとテストペイロードの軌道投入に成功しており、今回はアストラにとって初の運用衛星打ち上げミッションでした。
出口隼詩
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