「空からの写真は一目瞭然」埋め立て進む辺野古の海 ドローンで監視する技術者の思い
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26コメント26件辺野古の埋め立ての移り変わり(沖縄ドローンプロジェクト提供)
土木技術者で沖縄ドローンプロジェクトの奥間政則さん(56)=沖縄県大宜味村=は、新基地建設が進む名護市辺野古の現場を小型無人機ドローンで空から撮影し、監視し続けている。「多様な生き物がすむきれいな海が、どんどん埋められている現状を多くの人に知ってもらいたい」。専門家としての誇りを胸に、新基地建設に反対し続ける。土砂投入から14日で3年。辺野古で新基地建設反対を貫く住民、条件付きで容認する関係者も、それぞれ胸の内を語った。(北部報道部・當銘悠)【動画あり】辺野古警備の会社、漁港を無許可で使用 県「違法状態」4年間 敷地にプレハブも 東京や沖縄の建設会社で20年余り働き、古宇利大橋の工事にも携わった。 辺野古の埋め立て現場は2018年4月から撮影し、技術者の視点で問題点を追及してきた。濁った水が海に流出している現場をドローンで捉えた際は、環境破壊だと防衛省に訴えた。 写真に写る護岸のブロックやダンプの数などの状況から、埋め立ての進捗(しんちょく)を分析。名護市安和や本部港塩川地区からも大量の土砂が辺野古へ向けて搬出され、少しずつ埋め立てが進む事実を認めざるを得ない。それでも「しっかり実態を知り、それを皆に伝えた上で諦めずに闘いたい」 以前はキャンプ・ハンセン内で工事の現場責任者を務めたこともあるが、当時は基地問題にほとんど関心がなかった。 きっかけの一つは、2015年の新基地建設反対の県民大会に参加したこと。沖縄からいくら反対の声を上げても工事が強行されてきた現実を前にし「国策による差別と闘う覚悟を決めた」 「政府は工事が進めば県民は諦めると思っているかもしれない」とし「政府が恐れているのは民衆が立ち上がることだ」と運動の盛り上がりを期待する。 無関心をなくそうと全国各地で講演にも出掛け、工事の状況や南西諸島の軍事化への危機感を伝えている。来年は復帰50年の節目。「沖縄の現状を多くの人が見つめ直してほしい」と語る。 改正ドローン規制法により、近距離からの撮影はできなくなった。今は飛行禁止区域に侵入しないよう制御できるアプリを使って撮影し、監視を続ける。 「陸からは見えなくても空からの写真は一目瞭然。しっかりとした根拠を基に、辺野古の工事を追及し闘いたい」。いつも身に着ける作業着は、土木技術者のプライド。これからも新基地建設の現場を撮り続ける。■政府の姿勢を批判 反対する住民の西川さん 基地による生活への影響を懸念し、辺野古新基地に長年反対してきた辺野古区在住の西川征夫さん(77)。埋め立てが進む海は若い頃、友人と潜ってタコや魚を捕った場所でもある。 3年前の土砂投入の日、工事が進むことを受け入れられず、現場に足を運べなかった。「悔しくてね」。当時の心境を振り返る。 県が埋め立て変更承認申請を不承認とし、防衛省が行政不服審査法に基づき国交相へ審査請求したことに触れ「政府はいつも強引なやり方だ」と批判する。 基地ができたらどうなるのか。地元住民の中で今一度考える必要があると思っている。「1%でも止められる可能性がある限り、反対する。その気持ちは変わらない」と決意を述べた。■「未来を考えて決着を」条件付き容認の飯田さん 新基地建設を条件付きで容認する、辺野古商工社交業組合元会長の飯田昭弘さん(73)は「国で方針が決められ、閣議決定されて進められている工事を止めることはできない」と受け止める。もろ手を挙げて賛成ではないが、これまでに県が反対しても工事は着々と進んでいるのが現状だと説明。「それならば50年先、100年先を見据えたまちづくりをしていくことが必要だ」と強調する。 移設問題で翻弄(ほんろう)されてきた辺野古区。「早くこの問題を決着して辺野古、沖縄の経済発展や活性化を図ってほしい」と願う。 ただ、基地による生活への負担は最小限でならなければならないとも考える。「住宅地の上空を飛行しないなど、米軍は規律をしっかり守ってほしい」と要望した。
最終更新:沖縄タイムス