沿って, Uav-jp 02/05/2022

いつ・どこで・誰が・何を買うのかを把握。グローバル規模の市場調査が簡単にできる消費行動プラットフォーム Attest

世界49カ国で55言語展開する消費者行動のリサーチプラットフォーム

――まずサービスの概要について教えてもらえますか。

 Attestでは、マーケットリサーチに特化したソリューションを提供しています。主なクライアントはB2Cビジネスです。B2Cブランドは、製品を展開したいカスタマー層がいても、その人口に関するデータを持っていない場合が多く、どのように戦略を立てたらいいのか、何から始めたらいいのか分からない場合が多くあります。 しかし、潜在的に自分たちの製品を買ってくれるかもしれないお客様が、今後ブランドが成功するかどうかを左右する層でもあるので、ブランドはどのような人々がどのような嗜好や消費行動を有しているのか把握しなくてはいけません。ターゲットカスタマーをしっかり理解することは、ビジネスで最重要課題です。今までは、これを行うことは非常に複雑でしたが、Attestはこのプロセスをシンプルにすることに成功しました。

Jeremy King Attest CEO & Founderエディンバラ大学で生物学の学士を取得し、卒業後マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。働きながらハーバード大学ビジネススクールでMBAを2010年に取得。累計25カ国で規模の異なる多種多様なプロジェクトに関わり、2015年に独立しAttestを立ち上げる。

――起業のきっかけは何ですか。

 まず、もともと私は動物の行動を研究する科学者で、合成生物学という分野を専門としていました。個人的に、データを使って意思決定を促す「経験論」に大きな関心があります。ビジネスというのは、ある種、科学分野のようにあるべきだと思っています。 次に、私は大手コンサル会社であるマッキンゼーで9年間経験を積みました。マッキンゼー時代、既にいるカスタマーに関する情報を把握することは簡単だが、まだ取り込んでいないカスタマーに関する情報を集めることは大変困難だと知りました。 既存客は、フィードバックもくれますし、ブランドのファンであったりもします。しかし、視点を変え、周りを見渡すことがなぜか難しかったのです。「新しいトレンドは何か?」「なぜ生まれるのか?」「この広告について人々はどう思うのか?」など、25ヵ国もの国のブランドと協働して分かったのは、見込み客を理解する仕組みがないことでした。 そして最後に、国際的なマーケットリサーチ市場は、総売上高にして8兆円規模の市場ですが、現存する需要のほんの一部にしか供給が行われていません。ここが目の付け所で、ビジネスチャンスになると思ったのです。

――ソリューションを下支えしている技術について教えてください。

 私たちは、誰でも簡単にマーケットリサーチをできるようにしました。大量のデータを処理する、そのデータをもとに意思決定を行う、他の同僚とデータをシェアするなど、私たちの製品は非常にシンプルにできています。ただ、シンプルなソリューションを支える技術は非常に複雑です。

Image: Attest HP

いつ・どこで・誰が・何を買うのかを把握。グローバル規模の市場調査が簡単にできる消費行動プラットフォーム Attest

 特に3つの点を挙げますが、1つ目は、エラーを含まない簡単なマーケットリサーチをデザインできるようにすることです。ユーザーが正しい見込み客の層を指定し、質問ごとに正しいロジックを形成し、コードを書かないで可視化できることです。 2つ目は、データの質を保証することです。回答を得るのは難しくないのですが、異なる回答を統一した規格に当てはめて情報を平等にし、同等のデータ品質を保つことは困難です。当社ではマシーンラーニングとAIを使って、異なるデータインプットも同じ品質を保てるようにしています。 そして3つ目に、様々なニーズを持つクライアントに提供できるよう、柔軟なソリューションを開発することです。ソリューションは、15のステップからできており、各々に80程度の要素が組み込まれています。それら全てを55ヶ国語で提供していて、比較機能やデータの集約も55ヶ国語で提供し異なるタイムゾーンでシェアできなくてはいけません。どれほど果てしないか想像できることでしょう。これら全てはクライアントの見えないところで行われています。

資金繰りにあえいだ日々から総額900億円調達

――2015年の設立からここまでの道のりはどうでしたか。

 私は、自身が科学者であること、ハーバード大学でMBA取得といった学歴やマッキンゼー社でのキャリアから、大手企業と一緒に働くことに慣れています。従って、ゼロから何かを作り、リスクをとり、零細企業として始めることは非常に楽しく意味のあることでした。 過去6年間を振り返ると、2017年から2019年まで製品を年間契約で販売し始めた時がビジネス上最高の瞬間でした。2年間に渡り製品を開発し、好機を見逃すまいとして日夜製品開発に勤しんでいました。年間契約ベースで製品をオファーすることには大きな不安もつきまといましたが、蓋を開けてみると年商1億を達成し最も成績の良い年となったのです。そこからシリコンバレーで最大のVCから支援を受けることにも繋がりました。 反対に、当時は運転資金の不足にも陥っていました。既存顧客から売上は上がるのですが、20%の確率で従業員に給与を支払えない可能性もありました。透明性の欠如が問題でした。最終的には、当時いた出資者に問題を正直に提起し、その結果一部の出資者が足りない部分をカバーしてくれることになったのです。そのような信頼をいただけたことにまずは感謝していますし、結果的に運営の透明性にも繋がりました。

効果的な市場調査で不発に終わる新製品を無くす

――マーケットリサーチの未来についてどのように考えていますか。

 リサーチというものは、何かとっつきにくいようなもので、多くの人々がやりたくても手をつけられずにいました。野菜を食べるのと一緒で、やらなきゃいけないと分かっていても、率先してやるものではないのです。 また、リサーチの結果、思っていたのと違うデータを見せられると戸惑うものです。見込み客をよく知り、事実やデータをうまく活用しなくてはいけないことはどの会社も分かっています。なので、マーケットリサーチの未来は、より多くの企業がリサーチを行うことに抵抗感がなく、頻度も増えているような世界だと思います。過去には、大手企業もコストや時間が多くかかることからマーケットリサーチは年に数回の頻度でしか行っていませんでした。もう少し簡単に、やりやすく変えれば参入障壁も下がります。 例えば、新製品のローンチ前に広告に関するリサーチを行えば、ローンチ後に広告に関してネガティブなフィードバックを受ける可能性が下がります。社内では高評価を得たのに、社外でのリサーチを行わなかったせいで会社の評判が危機に晒されます。新製品の95%が不発に終わると言われる中、その確率を90%にまで下げることができたらどうでしょう。それだけでも大きな変化です。 マーケットリサーチの未来は、より一口サイズの、リスクが少ないリサーチが可能なものです。その方が、インパクトも今より数十倍増えるでしょう。

――2021年10月の資金調達ラウンドで6000万ドルを調達しました。使い道はどのようにお考えですか?

 国際展開と技術投資です。ヨーロッパで非常に人気がありますが、米国では中規模なので、両方の市場でより存在感を強め、いずれアジアに進出することが目標です。また、今あるソリューションをより拡張的にし、より簡単に使えたり、カスタマイズしやすくしたりできるよう、開発を続けることも今の目標です。そのためには、認知度向上のためマーケティングに資金を投資したり、エンジニアを雇ったりとできることがたくさんあります。 なるべく多くの企業が、社外のフィードバックを製品開発に組み込み、実用性のある製品開発を行い意思決定を促すことが私たちのミッションです。それまでには、IPOやM&Aの可能性などもあり道のりは長いですが、世界中で採用されることが私たちの長期的なビジョンです。

――日本語でも利用できるそうですが、日本への本格進出は予定していますか。

 もちろん。ぜひ近いうちに日本にも進出してビジネスチャンスを掴みたいと思います。私は、個人的に日本に行ったこともありますし、気に入っている国でもあります。当社のサービスは日本語でも利用可能なので、ぜひ無料でまずは製品を試してみてください。西欧のマーケットと比較したり、競合他社について知ったり、消費者行動についての多くの情報を得ることができますよ。