沿って, Uav-jp 23/04/2022

ホントは怖い激安ドローン!知らずに買うと損するドローン価格の裏側

わずか数千円で買えるトイドローンから40万円オーバーの高級機まで、ドローンには様々な価格の製品が存在します。でも、安過ぎる製品に危険はないのでしょうか? なぜ、ドローンの価格にはこれほどまでに大きな差があるのでしょうか?

この記事では、そのようなドローンの価格や値段の差から生まれる安全性や性能の違いなどについてのギモンにお答えしつつ、ドローンを買う前に知っておくべきことや知らないと損をする情報をまとめました。ぜひ、最後までじっくりとチェックしてみてください!

もくじ

  • 2 ドローン価格のウラ側
  • 3 ドローン価格帯&グレード別メーカーランキング
  • 3.2 ミドルレンジ、普及価格帯に強いドローンメーカー
  • 3.3 格安ドローンメーカー
  • 3.4 番外編〜注目のドローンメーカー〜
  • 4 まとめ
  • 激安ドローンに潜む3つの危険性

    空飛ぶドローンを地上から操作するためには、通常は電波を使用します。そして、この電波は限られた周波数帯を使用するものであるため、不正な機器を使用すると混線の原因となる可能性があります。そのため、日本で使用される電波を発する機器は「特定無線設備の技術基準適合証明(通称:技適)」を取得することが法律により義務付けられています。

    DJIなどの主要メーカーが販売するドローンは技適を通過しているため、何ら問題ありませんが「ネット上で売られている激安製品」や「怪しげな海外並行輸入品」などの一部製品には技適認証を取得していない機体も存在しているようです。

    このような技適認証を通過していない機体は電源をオンにしただけでも、厳密に言えば、電波法違反になりかねません。「電波法違反のドローンを飛ばして逮捕された」という話は聞いたことはありませんが、うっかり値段につられて違法な製品を購入してしまわないように注意したいものです。

    接続不良でコントロール不能になる!?

    ドローンとコントローラー(プロポ)の接続が途切れてしまうと、当然のことながら機体の操作ができなくなります。このような状況になると、最悪の場合はドローンが際限なく上昇を続け宙(そら)に吸い込まれていったり、あさっての方向に飛んでいってしまったりという事態が発生します。

    ホントは怖い激安ドローン!知らずに買うと損するドローン価格の裏側

    また、電池が切れるまで1カ所でホバリングを続けるドローンを虚しく見上げている……という悲しみと屈辱が混ざった複雑な感情を味わわされることにもなりかねません。

    接続不良やコントロール不能に陥るリスクは必ずしも価格だけで判断がつくものではありませんが、一例として、入門機であっても6万円以上の価格となるDJIの製品であれば「リターン・トゥ・ホーム」機能が搭載されており、コントローラーとの接続が途絶えたらドローンが自動で帰還することが可能です。

    粗悪なバッテリーが火災リスクを高める!?

    ドローンが飛行するためにモーターをまわす電源には「リポ(LiPo)」と呼ばれるリチウムイオンポリマー二次電池が使用されています。このような種類の電池には充放電制御回路や短絡(ショート)、過熱などから電池を保護回路が積まれていますが、粗悪品の場合はこの回路性能が不十分なため、バッテリーが膨張、発熱、発火などのトラブルに見舞われる可能性があります。

    また、電池そのもの強度が低い場合や適切に設計されていない場合は墜落の際の衝撃などで急激に反応が進み爆発が起こることもあります。以下の動画では、実際に墜落したドローンから外れたバッテリーがローターと接触し損傷した後、激しく煙を吹き出す様子が映像に捉えられています。

    回路の性能や強度については、必ずしも値段が品質に直結するわけではないかもしれませんが、極端に安い製品については十分に注意することが必要です。また、購入に際しては、メーカーの説明や通販サイトのレビューコメント欄だけを鵜呑みにするのではなく、販売店に評判を聞いたり、BlogやSNSで生の声を拾ったりするなどして、バッテリーに異常が発生したという報告がないか調べるなどといった慎重さが必要です。

    ドローン価格のウラ側

    機体の値段に影響する3大要素

    「安いドローンと高いドローンは何がちがうのか?」。シンプルなギモンですが、即答できる人は、実はそれほど多くないかもしれません。

    この項では、ドローンの値段に影響を与える代表的な要素をピックアップしてご紹介しますので、機体を購入するときに「この値段は妥当なのかな?」と考える際の参考にしてみてください。

    ドローンに搭載できる重量が重くなれば重くなるほど、機体が大型化するため値段が高くなります。例えば動画を撮影する場合に「フルHD画質で良いし、多少映像に揺れがあっても構わない」という場合であれば、小型で軽量なカメラをドローンに取り付けるだけで良いので5万円前後の機体で実現可能です。

    一方で、「8K画質のカメラと、高性能スタビライザーをドローンに積んで圧倒的にキレイな映像を撮りたい」という場合は5kg以上、場合によっては10kg近い重量を持ち上げる(飛ばす)必要があるため、それを実現するための機体も50万円近い高価な物が必要になります。

    ドローンはビジョンポジショニング・システム (VPS)や3次元認識システムなどで障害物を認識し、GPS、慣性測定ユニットなどから得た情報と合わせて専用のプロセッサーでリアルタイムに処理することで衝突を避け、安定した飛行を実現しています。

    上位モデルでは、センサーの数を増やしたり赤外線センサーなどを搭載したりすることで、より衝突回避能力を上げている機体もあります。しかし、当然のことながらセンサーが増えて処理が複雑になればなるほど、機体の価格も高くなるため値段が上がります。そのため、大きな傾向としては「ぶつかりづらいドローンほど値段が高い」と言えるでしょう。

    ドローンに興味をもったり、購入しようと思ったりした理由は「空から写真や動画を撮影してみたい」から、という人も多いのではないでしょうか? そのため、近年のドローンは飛行性能だけでなく、写真や動画をいかに美しく撮れるかという点から価格に差が出てきています。

    手持ちで使う物もドローンついている物も、カメラは撮像素子(センサー)が大きく高性能であるほど価格が上がります。センサーが大型化すると歩留りが悪くなることや、大型のセンサーが捉えた大量のデータをさばくための高価な画像処理エンジンなどが必要になってくることが理由です。また、ドローン特有の話として、機体そのものの振動や風による揺れなどを軽減してブレの少ない写真や動画を撮るためにはジンバル(スタビライザー)が必要になります。

    さらに、大きくて性能の高いセンサーや画像処理エンジン、そしてカメラを安定させるスタビライザーを飛ばそうとすると、その分機体を大きく高性能にしなければならないため価格が上がるのです。

    ドローン価格帯&グレード別メーカーランキング

    ドローンメーカーは各社さまざまなグレード、ランクの製品を販売しています。しかし、ブランドの傾向として「ハイエンド寄り」「エントリーモデル重視」といったおおまかな特徴があるため、ここでは購入の際の目安とするためそれぞれのドローンメーカーの立ち位置や特徴をご紹介していきます。

    民生用ドローンメーカーの最大手で、7割以上のグローバル・マーケットシェアを持つと言われるDJIは、押しも押されもしないドローン界のトップメーカーです。性能も折り紙つきで、筆者が取材したプロフェッショナル・オペレーターの多くが「DJIの機体は安定性が高い」と口を揃えて話していました。ただし、その分値段も高めで、最も安いモデルでも直販価格が税込65,800円となっています。

    アクションカメラの老舗ブランドとして人気を誇るGoProが開発したドローンがKarma(カルマ)です。カメラ部を最新モデルのGoPro Hero 6にすれば4K画質で秒間60フレームの動画撮影ができる高性能モデルで、カメラを大きく前に突き出した独特のスタイルによりローターを映り込ませることなく飛行時にカメラをチルトアップできるなどといった特徴があります。しかし、ドローン本体は飛行可能時間20分程度と同価格帯のDJI機と比べると短く、オート操縦機能などでも後塵を拝している印象が否めません。

    アメリカドローンメーカーの雄として、ドローン黎明期に名をはせたブランドですが、製品の不具合や納期の遅延などにより失速し、人員の解雇を行なうなど苦境が伝えられる会社です。2017年7月には、オープンソースベースのシステムとして再始動がアナウンスされたり、新たな資金調達が流れたりするなど、復活の兆しはあるものの、先行きは以前不透明です。

    フランスのドローンメーカーParrotは、初期のドローン市場で普及価格帯におけるヒット作となる『BeBop』を発売して人気を博したブランドです。近年は3DRと同様に人員整理などの暗い話題が聞こえてくることもありますが、飛行機のような固定翼を備えたドローンやアームを備えたドローンなど個性的なモデルを発表し、独特の存在感を市場に放ち続けています。

    ホーリー・ストーン・トイズは、その名の通りトイドローンを得意とする中国メーカーです。機能を絞り込んだ安価な製品づくりが得意で、買やすい値段が支持されAmazonにおける「トップセールス」の常連となっています。ちなみに、日本での技適認証は通過しているとのことなので、その点は安心です。

    トイドローンよりは少し「本格派寄り」だけど値段は安い、というドプライスゾーンで頭一つ抜き出た存在のHUBSANも中国に本拠地を置くドローンメーカーです。5,000円台で買える空撮ドローンから、5万円代で3軸ジンバルに装着したフルHDの画質のカメラから空撮が行えるモデルなどを発売しています。なお、日本国内では株式会社ジーフォースや株式会社ハイテックマルチプレックスジャパンが販売を行なっており、国内で売られているモデルは技適を通過したものです。

    格安スマートフォンブランドとして知られる中国のXiaomiはドローン市場にも参入しています。記事作成時点における販売地域は中国のみですが、3軸ジンバルに4K撮影が可能なカメラを備え、自立航行もできるなど、DJI Phantomシリーズに迫るカタログスペックを誇ります。また、4Kモデルで450ドルというライバルを圧倒する低価格はかなりのインパクトです

    まとめ

    安いドローンは一見するとお買い得に思えますが、一部の製品には技適認証がない物やコントローラーとの接続性やバッテリーの耐久性などに問題がある可能性があるため購入には十分な下調べと慎重さが必要です。

    また、有名ブランドの高額なドローンには「高いなり」の理由があるのも事実。そこで、この記事ではペイロードや衝突回避能力、カメラ性能などについてどのようなスペックを持つ機体が「スペックも高く、値段も高い」モデルになるのかを解説しました。

    ただ安いだけの物、ムダに高い物、どちらを買ってしまっても満足はできないはずなので、この記事にある情報が「安くてもちゃんと作られているドローン」か「高くても価値があるドローン」を購入するための一助となれば幸いです。