沿って, Uav-jp 13/12/2022

物流の未来へ。ソフトバンクの「トラック隊列走行」実用化への挑戦

第5世代移動通信システム(5G)の商用化によって、あらゆる産業が再定義されるとされています。その代表例の1つが自動運転分野。2019年6月、ソフトバンクは新東名高速道路で、5G通信を使用したトラック隊列走行の実証実験を実施し、車間距離自動制御を行うことに、世界で初めて成功したことを発表しました。

世界初、高速道路で5Gの車両間通信を用いた車間距離自動制御の実証実験に成功

この実証実験が、未来の産業においてどのような活用が期待されているのか、また5Gの通信技術がどのように活用されているのか、実験内容をひも解きながら解説します。

物流の未来へ。ソフトバンクの「トラック隊列走行」実用化への挑戦

物流における社会問題を解決する次世代テクノロジー

少子高齢化に伴う労働力減少が加速し、トラック運送に従事するドライバーの年齢構成も徐々に高齢化する中で、ドライバー不足が深刻な社会問題となっています。その解決策として注目されているのが「トラック隊列走行」です。先頭車両は有人運転で、後続する車両が無人で追従することで、多くの荷物を少ないドライバーで輸送することができるようになります。

他にも隊列走行には、さまざまなメリットが期待されています。先行車からの操作制御により車間距離を短くすると、空気抵抗が減るほか、車両速度が一定になり速度変化が減少するため、単独でトラックが走った場合に比べて燃費消費の改善が見込まれます。さらには安定した車間距離で走行することによる道路の渋滞緩和や、ドライバーの労働環境改善などの効果も見込まれます。隊列を解除すれば、それぞれのトラックが独立して走行できる柔軟性も兼ね備えています。

このトラック隊列走行は、ドライバー不足を解決すると同時に、経費削減と効率化を実現できる、まさに次世代のテクノロジーなのです。

「トラック隊列走行」とは、複数のトラックが “協調” して走ることを指します。トラックの隊列を安定して形成・維持するためには、自動運転技術に加えて、隊列を構成するトラック同士が通信を行い、瞬時に必要な操作制御を行うことが求められます。

一般的に、前方を走る車がブレーキを踏んで減速すると、それを認識した後続車のドライバーがブレーキを踏んで減速しますが、隊列走行の場合は先頭車両が減速すれば、そのブレーキ操作が瞬時に後続車両に伝わり、人間が操作するよりも素早く減速されます。車両同士の通信をいかにリアルタイムに行えるかが非常に重要な要素であり、このカギとなるのが5Gの特長を活用した通信です。