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テンセントとはいかなる企業か? 時価22兆円、ゲーム世界一、WeChat11億人の脅威
ソフトバンク子会社を買収へ
ソフトバンクが、同社子会社のスーパーセル(Supercell)の売却を検討していると発表しました。その売却先として名前が挙がっている企業、それが中国の「テンセント(騰訊、Tencent)」です。日本ではまだあまり知られていませんが、同社は今や、ゲームの売上高でソニーやマイクロソフトを上回って世界トップ(NewZoo調査)。提供している複数のメッセンジャーのMAU(月間アクティブユーザー数)を単純合算すると11億人超(ちなみにFacebook Messengerが6億人、LINEが2.2億人)にのぼり、それを基盤にしたFinTech市場でも存在感を発揮しつつあります。同社の売上高は、日本の大手ゲームメーカーである任天堂と比べて、売上高で3倍、営業利益で17倍、時価総額は約10倍にもなります。今回、この「テンセント」を徹底解剖していきます。
フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司
フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司
2005年東京大学大学院情報理工学研究科修了。博士(情報理工学)。英国ケンブリッジ大学コンピュータ研究所訪問研究員を経て、2006年日興シティグループ証券にてITサービス・ソフトウェア担当の証券アナリストとして従事したのち、2009年3月にフューチャーブリッジパートナーズ(株)を設立。経営コンサルタントとして、経営の視点から、企業分析、情報システム評価、IR支援等に携わる。アプリックスIPホールディングス(株) 取締役 チーフエコノミスト。共著に『使って学ぶIPv6』(アスキー02年4月初版)、著書に『これならわかるネットワーク』(講談社ブルーバックス、08年5月)、『ネット企業の新技術と戦略がよーくわかる本』(秀和システム、11年9月)。『ビックデータ戦略』(秀和システム、12年3月)、『図解:スマートフォンビジネスモデル』(秀和システム、12年11月)。ホームページ: http://www.futurebridge.jp
<目次>- テンセントとは?QQやWeChatなどのコミュニケーション基盤
- テンセントのマネタイズはVASで
- テンセントのゲーム事業、その圧倒的なシェアとは?
- テンセントから日本企業が学ぶべきこととは?
- テンセントの成長戦略、今後はFinTech企業に?
- 時価総額22兆円はバブルなのか
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「テンセントはヤバい」、上場を控えたある中国人経営者が筆者に語った言葉です。そのテンセントとは、いったいどのような企業なのでしょうか? 一言で言うと、任天堂のようにゲームを提供しながら、LINEやFacebookに近いサービスを手がける企業です。同社の売上高(2015年12月期)は、1,028億元(1元16.5円換算で1.6兆円)、同年度の税引き前利益は362億元(同5,903億円)、時価総額は1.6兆香港ドル(1香港ドル13.8円換算で22.1兆円、16年6月7日現在)にのぼります(ちなみに日本最大のトヨタの時価総額は約18兆円です)。 テンセント、LINE、Facebook、これらの企業に共通している点は、各社が強力なコミュニケーション基盤(プラットフォーム)を保有していることでしょう。テンセントには強力なコミュニケーションプラットフォームが3つあります。1つめは、オンラインメッセージサービスの「QQ」、2つめはモバイル向けSMSや通話機能を提供する「WeChat& Weixin(以下、WeChat)」、3つめはSNS機能を提供する「QZone」です。 同社の3つのコミュニケーションプラットフォームのMAU(Monthly Active User:月間アクティブユーザー数、どれだけそのプラットフォームが利用されているかを示す指標)が図1です。 同社の創業は1998年、インターネットの利用がようやく開始されたばかりのころ。翌年の1999年2月にはIM(インターネットメッセージング)サービス「QQ」をリリースし、中国におけるIMサービスのスタンダードとなりました。その後もPCの利用からモバイルへの利用へシフト、2016年第1四半期のMAUは8.7億ユーザーに及びます。 中国人口は13.7億人(2015年末)なので、単純計算では中国人口の63%がQQを利用していることになります。そして、利用の形態もスマートデバイス(スマホ、タブレット)のMAU(2016年第1四半期)は6.58億ユーザーと、PCからスマホへのシフトが進んでいます。 テンセントが他社と違うところは、一つのサービスに依存しないこと。上記のQQにくわえて、2011年にリリースしたモバイル向けメッセンジャーが今、中国を席巻している「WeChat」です。中国版LINE・Facebookメッセンジャーに近いコンセプトですが、スマホの本格的な普及にあわせてMAUも増加、2016年第1四半期でのMAUは7.62億ユーザーとサービス開始してから5年近くでMAUではQQに迫るまでに至りました。 上記2つに加えて、写真シェア、ブログなどのSNS機能を提供するQZoneも2016年第1四半期でのMAUは6.47億人とQQ、WeChatに及ばないものの、多くのユーザーを抱えており、図2に示すように、中国全土でのMAU上位10アプリのうち、4アプリがランクインしています。図2 中国でのMAU上位10アプリ(2016年3月時点) | |||
順位 | アプリ | カテゴリ | MAU(単位:千ユーザー) |
1 | インスタントメッセージング(IM) | 648,504 | |
2 | インスタントメッセージング(IM) | 508,195 | |
3 | Taobao | 統合ビジネス | 193,910 |
4 | Mobile Baidu | 検索 | 185,085 |
5 | AliPay | モバイル決済 | 170,089 |
6 | Sogou inputmethod | 中国語入力 | 157,805 |
7 | Tencent video | 統合ビデオサービス | 151,204 |
8 | iQIYI | 統合ビデオサービス | 147,613 |
9 | QQ Browser | ブラウザ | 143,640 |
10 | ソーシャルネットワーク | 143,334 | |
※色の付いた1、2、7、9がテンセントが手がけるサービス(出所: Analysis China) |
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